今こそ営業組織がマイクロラーニングに取り組むべき理由とは?

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営業手法が最近急激に変わってきています。

展示会からウェビナー、
訪問営業からオンライン営業、
電話営業からフォームマーティング、
などなど

オフラインからオンラインの流れが急激に進んでいます。
今までの営業トレーニングはOJTを中心に対面は多かったですが
ここにもオンラインの流れがきています。

ベルフェイスによる「オンライン商談に関する実態調査(2020年5月18日)」によると
「新型コロナウイルス感染症対策」等の理由でオンライン商談を導入している
企業が52%とのことです。

オンライン商談を導入する企業が増える一方で
「リードタイムの短縮」「商談数の増加」「受注・成約率のアップ」「売上増加」「新規顧客拡大」
といった指標に関しては、
訪問と比べて成果が上がったと感じている割合が2割未満に限られており、
成果が下がったとする回答の割合も高いようです。

多くの企業では必要に迫られ、オンライン商談を導入したものの、
トレーニングが十分でなかったり、訪問営業と勝手が違ったりで
成果がすぐには出ない状況になっているようです。

さらに社内でもオンラインでのコミュニケーションが増えることから
営業育成の方法も変わってくるでしょう。

今回はこれからの営業育成にフォーカスして
「マイクロラーニング」について紹介したいと思います。

マイクロラーニングとは?メリットとは?

そもそもマイクロラーニングとは、5分程度の短時間で学習を行うスタイルです。
eラーニングの学習形態の一種として注目されています。
ATD(Association for Talent Development)という人材開発組織の
会長トニー・ビンガム氏が紹介したことで注目されるようになりました。

スキマ時間などを活用し、短時間で、繰り返し挑戦できる学習方法であり、
長期記憶を形成しやすく、知識として定着させやすい仕組みとも言われています。

というのも、ビジネスパーソンの日常では5分おきに何か別のことが発生し、
その都度、中断を余儀なくされるといった調査結果
(Wang-Audia & Tauber, 2014, Meet the Modern Learner: Engaging the Overwhelmed, Distracted, and Impatient Employee, Bersin by Deloitte)
があります。彼らが1時間にスマホを確認する回数は約9回、1日にネット接続をする回数は約27回です。
そのために確保できるまとまった時間は平均で3~7分となります。

更に近年ではテレワークが増えて、OJTなどの集合研修が減っているので
マイクロラーニングのような短時間でトレーニングできる手法が求められるくるのです。

ではどのようにマイクロラーニングを整備していけばよいでしょうか?

営業におけるマイクロラーニングの整備

1.営業教育コンテンツの整理
今まで教育教材として使っていたコンテンツを整理します。
3時間かけておこなっていた場合は5分程度を1回分として編集します。

営業のロープレ動画など教育コンテンツして十分活用できるので
様々な観点からコンテンツを整理してみましょう。

更に、可能な場合は動画化してコンテンツの最後に
小テストを設けることで理解は深まっていくでしょう。

2.コンテンツや学習進捗を可視化するプラットフォームの整備
どの営業が「どの」コンテンツを「いつ」「何回」学習したかが
わかるようにコンテンツ管理ツールなどのツールを活用します。

テスト結果も見える化されるので営業マネージャーも
営業メンバー1人1人のナレッジの理解度を確認することができるようになります。

なるべく早くフィードバックをすることで繰り返しの学習を促し、
営業パーソンのナレッジの定着につながるでしょう。

3.営業教育コンテンツの見直し
マイクロラーニングで活用するコンテンツを定期的に見直します。
サービス内容の変更や競合との差別化などトレーニングすべき
コンテンツは日々増えていくでしょう。

その他.部門間の連携
マイクロラーニングもセールスイネーブルメントの一環です。
セールスイネーブルメントにおける各部門の役割は以下のようになります。

・人事部門:
採用計画の立案、営業パーソンの採用、定期フォローアップ、採用した営業パーソンの経過を計測/分析

・営業企画/営業支援部門:
営業トレーニング(部門の役割、SFAの使い方、営業ロープレなど)、営業ツール制作、セールステックツールの導入

・セールス部門:
OJTによる新人営業教育、案件管理、商談活動、売上の拡大(受注)、他部門への共有

今まで分断されがちであった各組織での取り組みを統合し、
連携をスムーズにすることで組織全体の営業力強化は更に加速していくでしょう。

詳細はコラム「セールスイネーブルメントを担う部門とは?」を参考に!

セールスイネーブルメントとマイクロラーニング

マイクロラーニングとセールスイネーブルメントとのつながりについて
説明していきます。

組織全体の売上を底上げするためには、各営業施策の取り組みを
数値化してボトルネックの改善や成功例の型化をしていく必要があります。
このような改善のサイクルの総称がセールスイネーブルメントと呼ばれています。

セールスイネーブルメントを実行する企業は実行しない企業と比べて
10.6%多いというデータがあります。(2018年)

セールスイネーブルメントを実践しない企業:46.7%
セールスイネーブルメントを実践する企業:57.3%
(参考:CSO Insight社 Sales Enablement Grows 4th Annual Sales Enablement Report)

ということでセールスイネーブルメントの実践が
売上の向上につながっていることは明白です。

マイクロラーニングを営業教育で留めるのではなく、
営業改善の全体の取り組みとしてとらえることで
組織全体の営業力の強化につながっていくでしょう。

マイクロラーニングの効果

では通常のeラーニングと比較してどのくらいの差があるのでしょうか?

eラーニングと比較して、マイクロラーニングの学習者は
1週間につき約40分多くの時間を学習に費やし、
反復学習をしながら学びを深めています。
(Wang-Audia & Tauber, 2014, Meet the Modern Learner: Engaging the Overwhelmed, Distracted, and Impatient Employee,Bersin by Deloitte)

また、マイクロラーニングの学習者はモバイルを使用することが多く、
通常のPCで行うeラーニングと比較し、回答やリアクションのスピードが28%アップし、
学習者のエンゲージ率も50%高い結果がでています。

(Vanry, This is how microlearning creates just in time training for your company)
(Woidke, 2016, How retention measures up microlearning vs traditional learning)。

教育コンテンツに対するエンゲージメント(使う頻度)が高ければ、必然的に記憶への定着はアップし、習熟度は約20%強高まります。(Microlearning an evolving trend)

 

学習を通して、集中力と自信が高まり、結果としてマイクロラーニングを通じて学習したことは、
eラーニングと比較し、実生活や実務で約20%多く活用されています
(Gutierrez, 2018, Numbers Don’t Lie: Why Microlearning is Better for Your Learners)。

まとめ

今回は営業育成の新しい取り組みとしてマイクロラーニングを紹介してきました。

・マイクロラーニングとは
5分程度の短時間で学習を行うスタイル
eラーニングの学習形態の一種として注目されている
スキマ時間などを活用し、短時間で、繰り返し挑戦できる学習方法

・マイクロラーニングの整備のポイント
1.コンテンツの整理
2.プラットフォームの整備
3.コンテンツの見直し

近年変わってきた営業活動において、営業手法の定着やナレッジの浸透は
より難易度も上がり、スピード感も求められます。

競合に差をつけるべくマイクロラーニングを検討してもよいのでないでしょうか。