データを活用してセールスイネーブルメントを進める方法

データを活用してセールスイネーブルメントを進める方法

本コラムではセールスイネーブルメントの概要や浸透の方法について
お伝えしてきました。
(コラム「セールスイネーブルメントと推進するツールとは」)

組織全体の売上を底上げするためには、各営業施策の取り組みを数値化し、
ボトルネックの改善や成功事例の型化をしていく必要があります。
このような取組みの総称がセールスイネーブルメントと呼ばれています。
(コラム「セールスイネーブルメントとは?|営業マネージャー必見!」を参考に)

例えば、SFAを活用することで日々の営業マネジメントが効率的になり、
営業メンバーのレベルアップを促進します。

しかし、なかなか活用がうまくいかない企業が多いのです。
今回はSFA活用によるセールスイネーブルメント実践において
問題点やその解決方法についてお伝えしていきます。

セールステックツールを用いたセールスイネーブルメントの実践

SFAを用いてどのようにコーチングを行っていけばよいでしょうか?

①リード/案件コーチング
まず、システムに入ってきたリードの属性情報からアプローチするべきかを考えます。
SFA内では顧客情報の中に以下のような属性情報を設定することができます。
例:検討状況(情報収集段階、3ヵ月以内に導入、半年以降など)、業界、課題感

更に過去の案件から同じような課題感、業界への提案内容を確認して
提案までのアクションプランのアドバイスができます。

SFAには過去の営業情報も蓄積されているので
同じような案件の提案書や受注率を参考にすることで案件の見極めもできます。

②ファネル/パイプラインコーチング
SFAの分析レポートを用いることで現在までの積み上げ金額の確認はもちろん、
営業フェーズの移行率も確認することができます。

例:
リードフェーズ
案件数:100件
積み上げ金額:5000万円

⇒商談
案件数:30件
移行率:30%
積み上げ金額:3000万円

⇒クロージング
案件数:12件
移行率:40%
積み上げ金額:2000万円

⇒受注
案件数:9件
移行率:70%
受注金額:1000万円

ここまで営業メンバーの状況が見える化されるので
ボトルネックを把握し、ピンポイントなアドバイスができます。

③スキル/行動コーチング
SFAでは営業活動の商談メモにテンプレートを作成することができます。
必要なヒアリング項目を事前にチェックボックスやテキストボックスで設定できるので
知らず知らずのうちに営業の標準化を進めることができます。

トップ営業の行動を見える化していく上で非常に重要な機能です。

コーチングの際には蓄積された商談履歴から次の打ち手をアドバイスします。

④アカウントコーチング
SFAでは自分の担当案件だけでなく、同一企業の過去案件や
取引先の名刺情報も記録しておくことが可能です。
更に、ツールによっては取引先のプレスリリース情報や有価証券情報まで
自動で情報をとってくることができます。

これの機能を利用することでアップセルやクロスセルのチャンスを狙うことができます。

⑤テリトリーコーチング
過去の業界やエリアでの受注率を参考にすることで
エリア内でのターゲットの選定を最適化することができます。

更に名刺管理ツールと連携することで同じエリア内での
提案活動を優位に進めることができます。(代表同士のつながり、紹介など)

SFA活用の問題点

しかしSFAの活用がうまくいかないケースも多いのです。

・SFAを導入してけど営業が入力してくれない
・SFA導入を導入しても売上は変わらない
・データはとれるようになったが営業メンバーの能力にばらつきがある

上記のような問題点が多く、SFAに悲観的な営業マネージャーも多いでしょう。

このようなことにならないようにするためにもセールスイネーブルメントの思考で
全体設計することが良いでしょう。

ではどのような手順で進めていけばよいでしょうか?

セールスイネーブルメントを体系的に実践

まずカスタマーパスを整理します。
カスタマーパスとは購買までの顧客の心理的変化のことで
認知、購買、導入の3つ状態に分けられます。

それぞれ見込み客がどのようなアクションをとるのかを
整理していきます。

認知:検索、セミナー参加、口コミ、資料請求
購買:商談依頼、サービス比較、選定、契約
導入:サービス導入、評価、継続or解約

そしてそれに対してどのようにアプローチするのか
自社の営業プロセスを整理します。

(例)
リード⇒アポ取得⇒初回訪問⇒提案⇒クロージング⇒見積提示⇒受注

さらに受注案件を分析することで受注までにどのようなポイント
をおさえておくべきかを明確にします。

(例)
BANT:
・Budget:予算(予算はどのくらいか?)

・Authority:決裁権(会う人は決定権を持っているのか?)

・Needs:必要性(企業が導入の必要性を感じているのか?)

・Timeframe:導入時期(導入・購入する時期は?)

MEDDIC:
・Metrics(測定指標)

・Economic Buyer(決裁権者)

・Decision Criteria(意思決定基準)

・Decision Process(意思決定プロセス)

・Identify Pain(抱えている課題)

・Champion(自社サービスの擁護者)

この他にも競合情報や懸念点などあるでしょう。

案件の受注確度を正確に見極めるために必要不可欠ということを
営業全体で理解していれば、これらの情報を案件単位でどこかに記録するでしょう。

まさにその場所がSFAなのです。
カスタマーパスと営業プロセスに沿って活動した内容や
BANTやMEDDICのポイントをSFAに記録します。

さらに蓄積された情報を参考にマネージャーが日々メンバーにコーチングをし、
成功事例や提案書からアプローチブックのような営業コンテンツが完成していくのです。

ただ、最初のうちはどうしても抵抗があるメンバーも一部いるかもしれません。
なのである程度の強制力も必要になるでしょう。

まとめ

経営層が欲しい数字を見たいために、SFAを入力させているケースが多く
営業としては、必要以上に多くの情報を入力しなくてはならずに入力を怠ることが多いです。

なので以下のような問題が発生するのです。
・SFAを導入してけど営業がに入力してくれない
・SFA導入を導入しても売上は変わらない
・データはとれるようになったが営業メンバーの能力にばらつきがある

これを避けるためにもセールスイネーブルメントの取り組みの一環にしましょう。
・カスタマーパスの整理
・カスタマーパスに沿った自社の営業プロセスの整理
・各営業プロセスのチェック事項の整理

をしてからそれらの情報をSFAに記録していくようにしましょう。
このような取り組みもセールスイネーブルメントの一つです。

SFAを正しく活用して日々の効果的な案件コーチングに活かしていきましょう。
最終的に営業の標準化と営業改善のプロセスが完成するのです。

ぜひデータドリブンな営業組織構築に取り組んでみましょう。