自社独自のセールスモデルを構築するステップ

自社独自のセールスモデルを構築するステップ

営業プロセスや商談の営業の型など自社独自で定義している企業も多いでしょう。

一方で最近は「The Model」と呼ばれるような
セールスフォース社の営業モデルを踏襲している
営業組織も増えているのでないでしょうか?

特にSaaS事業であればこのモデルを使うケースが多いでしょう。

しかし世界的に有名な企業が採用し、結果が出ているモデルだからといって
全ての企業が導入すれば同じように結果が出るのでしょうか?

そんなことがないのは皆さんご存知かと思います。

今回は結果が出ない理由やモデルを構築する時のポイントをお伝えしていきます。

営業プロセスの例と商談の商談の標準化による成功例

まずは自社の営業プロセス(受注までの流れ)と役割を整理してみましょう。
(マーケティングと営業担当が合わせて10人以上いたとします。)

問い合わせの獲得(マーケティングチーム)
→アポ獲得の為のアプローチ(インサイドセールス)
→商談・受注(セールス)
→サポート(カスタマーサクセス)

更に細かく受注までの営業の流れを整理してみましょう。
リード獲得
→アプローチ
→商談の見極め
→担当者との課題の合意
→決裁社合意
→価格・スケジュールの同意
→契約書
→受注

自社目線ではなく顧客目線も含めて営業プロセスを整理することで
恣意性がなくなり、共通認識が持てます。

例えば、
初回商談→提案→見積もり提示→受注

では、メンバーによって考え方が異なり、
受注に近づいているのかどうかマネージャーは分からなくなるでしょう。

次に商談の流れを見てみます。
一般的に以下の様なステップです。

1.アプローチ
:アイスブレイク、自己開示など

2.ヒアリング(ファクトファインディング)
:課題をヒアリングする、事前に準備した仮説をぶつける

3.プレゼン
:自社サービスが「課題をどのように解決するのか」観点で説明

4.クロージング
:不安を払拭して受注へつなげる、またはネクストアクションの設定

となります。

ここで営業の標準化を進めます。
具体的にはセールスストーリーを固め、売れる営業の型を
営業ツールにも落とし込んでいきます。

このように営業組織を整理して営業の流れや商談の流れまで整理することで
自社ならではの営業モデルが完成していきます。

それでは最初からフレームワークに落とし込んでみるとどうなるでしょうか?
実は有名な企業が使っているフレームワークにも様々な問題があります。

フレーワークに頼る問題点

そもそもいわゆる「The Model」とはどのようなモデルでしょうか?

The Modelは、マーケティングとセールスの一連のプロセスを細分化し、組織で分担する考え方です。
それぞれのチームがプロセスの一部分のみを担うため、効率が上がり専門性も高まると言われています。

例えば、
問い合わせの獲得(マーケティングチーム)
→アポ獲得の為のアプローチ(インサイドセールス)
→商談・受注(フィールドセールス)
→サポート(カスタマーサクセス)

のように分業化をしてそれぞれのチームに指標を割り当てます。
マーケティングチーム:MQL(見込み客)
インサイドセールス:アポ獲得数(フィールドセールスにパスする商談数)
フィールドセールス:受注率・売上
カスタマーサクセス;アップセルの金額・解約率

このように分業化することで各チームの役割が明確になり、
効率的に売上につなげていくことができます。

しかし、問題点もあります。

・分業することでそれぞれのチームの全体最適を考えられなくなる
例えば、インサイドセールスではアポの取得数の目標が20だったとします。

インサイドセールス:20件アポ取得
→フィールドセールス:1件受注

インサイドセールスが本来は自社のターゲットではない見込み客を
フィールドセールスにパスしてしまい、結局受注は1件も出ませんでした。

自チームの目標達成を意識する為、
最終的な会社の目的である持続的な成長からは遠のいてしまうでしょう。

他にもあります。
・分業によって情報共有が鈍化する
各チームが目標を達成する為に個々に動くので、それぞれがどのような活動をしているのかが
ブラックボックス化してしまうリスクがあります。

例えば、マーケティングが獲得したリードに対してどのようにアプローチしたのか
マーケティングが直接確認しないと分からないケースがあります。

こうなると振り返りや新しい施策のPDCAを回すのに時間がかかってしまいます。

チーム間連携を効率的にする

ではどのようにすればうまく進められるでしょうか?

以下3つが考えられます。

1.部門横断型の戦略立案と効果測定
セールスイネーブルメントの施策を進めて
組織全体で共通の認識を持つことが必要です。

例えば会社全体で20%の売上成長を目標とし、
採用から営業までこの数字を目標にします。

そうすることでマーケティングやインサイドセールスも
チームを離れた後も経過を確認することが習慣化するでしょう。

最初から横断的に見る部隊を整備することですぐに問題に気づけるでしょう。

2.MA・CRMなどの各種ツールの連携、運用
各チームの活動内容をツールを活用して連携・共有することで
情報共有のスピードは上がるでしょう。

例えば、マーケティングがMAを活用してリードを獲得し、
リードの情報がSFAに連携されれば、インサイドセールスのアプローチも
効率的になるでしょう。

3.戦略・戦術策定のためのデータ分析
1とも近いですが全体の数字をモニタリングしてデータドリブンな戦術を進めていきます。
SFAを活用することでモニタリングがしやすくなります。
(詳しくはコラム「セールスイネーブルメントの取り組みを加速するSFA/CRM活用方法」を参考に)

このように自社でモデル構築する際や最初から他のモデルに当てはめる際は
上記を意識するとうまくいくでしょう。

まとめ

ある有名なモデルを無条件で自社に当てはめるリスクについて紹介してきました。
以下のような問題が生じるでしょう。

・分業することでそれぞれのチームの全体最適を考えられなくなる
自チームの目標達成を意識する為、最終的な会社の目的である持続的な成長からは遠のいてしまう

・分業によって情報共有が鈍化する
各チームが目標を達成する為に個々に動くので、それぞれがどのような活動をしているのかが
ブラックボックス化してしまうリスクがある

解決策は以下です。
1.部門横断型の戦略立案と効果測定

2.MA・CRMなどの各種ツールの連携、運用

3.戦略・戦術策定のためのデータ分析

そもそも自社のリソースに偏りがある場合は4つのチームに分ける必要はないでしょう。
(リードタイムが極端に短い場合もインサイドセールスを置くと逆効果になることもあります。)

自社の事業の特性や人的リースを考慮してから適したフレームワークを考えてみましょう。
いずれにせよ決めたモデルをやり抜く実行力が一番大事になってきます。

自社の体制に悩んでいる場合はぜひ参考に!