営業組織の強化に必要なセールスイネーブルメント。
カスタマーパスの整理、営業ツール制作、営業コーチングなど様々な取り組みが必要に
なってきます。更に営業パーソンの受注率の向上には営業トレーニングも必要です。
※そもそもセールスイネーブルメントとは
「営業活動の改善に必要な要素」を統合して考えようという概念。
研修やシステム化、コーチングといった個別の施策について
バラバラに取り組むのではなく、それらをトータルで見ることで
効率化・最適化を図ろうというもの。
コラム「セールスイネーブルメントとは?|営業マネージャー必見!」
会社での「教育」というと人事部門をイメージされる方も多いでしょう。
一方で「営業」や「売上向上」については営業部門でのOJTを想定します。
セールスイネーブルメントは一つの部門で完結するというよりは
複数部門での連携が必要です。
セールスイネーブルメントの実戦
セールスイネーブルメントを取り入れた場合、
各部門の役割は以下のようになっていきます。
「営業活動の改善に必要な要素」には優秀な営業パーソンの採用も含まれます。
・人事部門:
採用計画の立案、営業パーソンの採用、定期フォローアップ、採用した営業パーソンの経過を計測/分析
・営業企画/営業支援部門:
営業トレーニング(部門の役割、SFAの使い方、営業ロープレなど)、営業ツール制作、セールステックツールの導入
・セールス部門:
OJTによる新人営業教育、案件管理、商談活動、売上の拡大(受注)、他部門への共有
セールスイネーブルメント担当に必要なスキルとは?①②では人事部門、営業企画/営業支援部門
に必要なスキルについて紹介してきましたが今回はセールス部門に必要なスキルについて紹介していきます。
セールス部門に必要なスキル-コーチングスキル
・セールス部門:
OJTによる新人営業教育、案件管理、商談活動、売上の拡大(受注)、他部門への共有
上記のような取り組みを進めるにあたって必要になるのが
①コーチングスキル、②計数分析スキル、③仮説構築力
になります。
①コーチングスキル
採用部門や営業企画部門によって整備された
営業パーソンや営業ツールを用いて持続的に営業成果を上げるために
営業コーチングが非常に重要になってきます。
営業コーチングは以下のように分解して考えることができます。
・リード/案件コーチング
・ファネル/パイプラインコーチング
・スキル/行動コーチング
・アカウントコーチング
・テリトリーコーチング
・リード/案件コーチング
サービス検討の初期段階であれば、アプローチしようとしているリードが
質の高い案件になり得るのかどうかを見極めるのに役立つアドバイスをします。
導入後であれば既存客にアップセルの余地があるかどうかを話し合います。
リードの見極め後は、購買フェーズにて顧客がどのような課題を感じ、
検討を前に進めるためにはどんなことができるのか、
を営業メンバーと話し合い、適格なアドバイスをします。
この時、SFA/CRMに蓄積されたデータを使いながらミーティングを
行うことでアドバイスも効率的になるでしょう。
・ファネル/パイプラインコーチング
営業パイプライン(初回商談~受注まで)において何件の案件があるのか。
今後の売上はいくら積みあがっていくのか。
それぞれ確認し、営業パーソン自身が目標達成のためにどのようなアクションを
すべきなのか、答えを見つけられるようなサポートを行います。
ファネル/パイプラインコーチングで注意すべき点
:価値とランクづけ:顧客の優先度は適切か
:スピード感:案件は停滞していないか
:量:売上目標を達成するために十分な案件やリードはあるのか
:ファネルの形状:初回商談から受注まで一定の割合で進んでいるか
:期間:直近だけでなく中長期的に見る
:行動計画:どの案件を優先するのか
・スキル/行動コーチング
商談の中でどのような聞き方をすれば課題をヒアリングできるのか。
隠れた課題を抽出できるようなインサイト営業に近づくための
スキルを身につけられるなコーチングを行います。
営業ロープレ時や営業同行時に行うアドバイスです。
スキル/行動コーチングで注意すべき点
:カスタマーパスとの連動:検討状況に応じたが適切な会話ができたか
:価値の提示:成功イメージを共有できたのか
:ニーズの発見:効果的なヒアリングができたのか
:重要なメッセージの伝達:顧客にとって響く提案ができたか
:商談/電話のスキル:ネクストアクションを握れたか
・アカウントコーチング
アカウント(特定のターゲット企業)に対して戦略的にどのように
アプローチをしていくべきなのかをコーチングします。
単なる案件コーチングではなく、取引先影響者やアカウントが持つ
ビジネス戦略に注意を払います。
アカウントコーチングで注意すべき点
:調査と分析:社内データからアカウントを絞り込んで管理可能なセグメントに落とし込む
:優先すべきセグメント:優先度の高いビジネスセグメントはどこか
:経過:フォーカスして行ったアカウントへの活動でどれだけ効果がでたのか
・テリトリーコーチング
担当のエリアの中で適切な見込み客(業界、企業)を選んでいるのか。
アプローチしている決裁者は適切なのか。
テリトリー内でのターゲットについてコーチングを行います。
テリトリーコーチングで注意うべき点
:ターゲット/セグメントの分析:どのセグメントをターゲティングしているのか
:決裁者:ターゲットの中での最重要決裁者はだれか
:行動計画:重要なセグメントの中でプレゼンスを高めるために何を行うべきか
このようにコーチングといっても様々なタイプがあります。
営業企画/営業支援部門に必要なスキル-計数分析スキル・仮説構築力
②計数分析スキル
営業コーチングの際に①で紹介した点を意識することも重要ですが
その際にSFA /CRMの売上状況や活動状況のレポートを閲覧して
そこから読み解き、的確なアドバイスをするスキルも必要になります。
例えば、ファネル/パイプラインコーチングにおいて
営業フェーズの移行率を確認します。
(SFAの分析レポートを用いることで現在までの積み上げ金額の確認はもちろん
営業フェーズの移行率も確認することができます。)
リードフェーズ(件数:100件)
↓ 移行率:30%
商談(30件)
↓ 移行率:40%
クロージング(12件)
↓ 移行率:10%
受注(1件)
上記の例だとクロージングから受注までの移行率が低いことが分かります。
数値の背景を理解することでメンバーに合ったサポートをすることができます。
この場合だと営業マネージャーはクロージングのロープレや
営業同行をすることで受注率の改善を促していきます。
③仮説構築力
日々の営業活動から見えてくる傾向を分析して
仮説を構築していく(次の打ち手を考える)スキルも必要です。
例えば、アカウントコーチングをしている中で
顧客の傾向の変化に気づくこともあるでしょう。
・新規顧客の業界が変わってきた(製造業⇒IT業界)
→直近リリースした○○サービスがIT業界に合っているのでは?
→IT業界での事例を営業コンテンツに盛り込めば更に受注率は向上するのでは?
→営業企画部門へ連携して営業コンテンツの制作依頼
また案件コーチングを進める中でこんなことに気づくかもしれません。
・最近リードの流入数は増えているが案件化が減っている
→チャネルを分析してみるとweb広告経由が多かった
→キーワードや配信コンテンツが本来のターゲットから遠いのでは?
→マーケティング部門へ共有してキーワード、ターゲット、チャネルの見直しを行う
セールスイネーブルメントの目的である継続的な営業成果を実現していくには
上記のように数字を読み解き(計数分析スキル)、次の打ち手を考え(仮説構築力)、
他の部門と連携するスキルが必要です。
まとめ
今回はセールスイネーブルメントを実践する上で
セールス部門に必要なスキルを整理してきました。
・セールス部門:
OJTによる新人営業教育、案件管理、商談活動、売上の拡大(受注)、他部門への共有
上記のような取り組みを進めるにあたった必要になるのが
①コーチングスキル
・リード/案件コーチング
・ファネル/パイプラインコーチング
・スキル/行動コーチング
・アカウントコーチング
・テリトリーコーチング
②計数分析スキル
SFA /CRMの売上状況や活動状況のレポートを閲覧して的確なアドバイスをする。
③仮説構築力
日々の営業活動から見えてくる傾向を分析して仮説を構築し(次の打ち手を考える)他部門と連携する
上記のようにセールス部門に求められるスキルは難易度が高いものです。
プレイングマネージャーを置いている企業ではすぐに実行するのはなかなか難しいでしょう。
自社のリソースに限りがある場合は第三者的視点も兼ねて外部サービスもおすすめです。
(特に営業コンテンツの制作や落とし込みは自社だけだと厳しいかもしれません。)
セールスイネーブルメントの取り組みのお役に立てれば幸いです。
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