近年営業活動でもリモートワークを取り入れる企業が増えてきました。
オリンピック時のラッシュアワー対策やコロナウイルスの予防策など
の理由からニュースでもたくさん取り上げられています。
今回はリモートワークを進める企業の
具体例や導入時の効果について紹介していきたいと思います。
①リクルートホールディングス
2015年からリモートワークを導入するリクルートホールディングスは、
日本の大手企業でのリモートワーク導入の先駆けと言っても良いかもしれません。
働く場所に囚われないワークスタイルの実現を目指すリクルートホールディングスでは、
雇用形態に関わらず全ての従業員が、日数の制限もなくリモートワークを認める制度を早くから導入してきました。
リクルートでは単に制度を敷くだけでなく、トライアルでの実証実験やアンケートを行い、
自社の従業員満足につながる制度の見直しにも取り組んでいることが特徴だと言えます。
リモートワークが業務の生産性向上につながるか懸念する方も多いですが、
リクルートホールディングスでは、利用者の半数以上が「生産性が高まった」と
感じていることがわかっています。
また、その理由として「集中できたから」と答える社員が多く、
それまでの特定のオフィスで、決まった席に座って業務に当たるスタイルでは、
周囲の社員と会話を交わす時間が多く、生産性を悪化させる原因になっていたことが判明したそうです。
では、社員間のコミュニケーションが減ったかというとそうではなく、
オンラインでのチャットシステムを活用することで、「コミュニケーション量が増えた」と感じる社員もいるようです。
雑談が減り、必要なやり取りのみが行われる効率的なコミュニケーション環境が整いつつあるようです。
一方で、課題として上がったことがITツールに関する問題で、自宅にインターネット環境がない社員や、
PCを保有しておらずスマートフォンででしか作業ができない社員に対する対応でした。
この問題に対して、必要な機器を貸し出すことはもちろん、
東京近郊のサテライトオフィスを他社との提携により設置し、
本社オフィスよりも短い時間で通える場所にリモート環境を作ることで解決を図っています。
【参考】日本の人事部
②カルビー
2016年(平成28年)1月から『雇用形態に関係なく、全ての社員がリモートワークを選ぶことができる』
という規定を採用したのです。
つまり、社内だけでなく営業もリモートワークができます。
食品大手のカルビーは間接部門で週2日を上限とする在宅でのリモートワークを取り入れています。
営業職も外出先などでのリモートワークで、直行直帰を実現しました。
ポイントはルールの明示で、具体的には以下4つです。
・前日までに上司に申請し、翌日に業務報告
・リモートワークの時間は所定の労働時間中が前提
・オフィス同様に集中して業務をすること
・呼び出し時には出社できること
導入後に従業員向けに行ったアンケートでは、
83%の従業員が「業務効率が向上した」、
96%の従業員が「ライフワークバランスが向上した」と回答しています。
業務効率だけでなく気持ちの面でも改善されていることがわかります。
参考:https://dime.jp/genre/656627/
③味の素
連結で30,000人以上もの従業員を抱える大手食品会社である味の素は、2017年度に
「働き方改革」をスタートさせました。
その大きな柱が、1日の所定労働時間を2020年には35分減少させ7時間にするというもので、
この実現の要と位置づけられるのがテレワーク制度の導入です。
「どこでもオフィス化」をテーマに役員や社員一人ひとりに画像認識機能が付いたパソコンを付与し、
業務効率の向上と多様な人材の活用が目指されています。
その投資額は10億円を超えると計画されていますが、従来かかっていた出張費や得意先への営業費や接待費などが軽減されることを考えると、
中長期的にはコスト効率が向上される見込みです。
味の素が進める改革では、当日の在宅勤務申請も認めるほか、
日数の制限もなく、さらに管理職には週1回以上の制度利用義務づけが検討されています。
コスト低減、ワークスタイルの拡充、ダイバーシティへの対応、長期的な人材の確保など、
多くの目標達成を実現させる手段として、テレワークが欠かすことができない制度になりつつあります。
【参考】ニュースイッチ 2016年12月27日「味の素がテレワーク全部門に導入。当日の在宅勤務申請もOK、日数も制限なし」
まとめ
今回は様々な企業のリモートワークの取り組みを紹介してきました。
一方で業績の低迷からIBM社や米ヤフーリモートを廃止しています。
導入すればすぐに効果が出るものでもありません。
最後に営業にリモートワーク導入時のポイントを紹介します。
1.営業現場にリモートワークの風土を作る
まずはトップダウンだけでなく、営業現場へもリモートワーク導入の
同意を得ることが必要です。
営業マネージャーによっては営業効率化を進めるためにリモートワークの
取り組みに賛成する方も多いですが、そのような方だけではないでしょう。
場合によっては人事評価にも組み入れることもよいでしょう。
2.リアルタイムでのコミュニケーションの仕組をつくる
どこにいてもコミュニケーションがとりやすいように
チャットツールなどを導入すると口頭での会話のような
コミュニケーションがとりやすくなります。
更にタスク管理ツールやグループウェアを活用することで
社内タスクの進捗や営業スケジュールを簡単に共有できるようになるでしょう。
3.営業進捗をリアルタイムで把握できるツールを導入する
対面での営業会議がなくても案件進捗がわかるような
プラットフォームを設けることでどこにいても情報共有が可能になります。
具体的なツールとしてはSFAが挙げられます。これらが残っているとコンテンツのアイデア出しや制作が楽になります。
ぜひリモートワークの導入を進める企業のみなさんは参考にしてみてください。
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