受注率をあげるアプローチブックの作り方ポイント⑤更新編

受注率をあげるアプローチブックの作り方ポイント⑤更新編

以前本コラムにてアプローチブック制作のポイントについて紹介してきました。

そもそもアプローチブックとはどのような営業ツールでしょうか?

アプローチブックとは営業に携わる全員の英知を結集した営業ツールです。
最適な商談の流れやトークの内容を営業メンバー全員が再現できるよう可視化します。
「よく聞かれる質問」や「厳しい反論」などを持ち寄り最適なトークや資料にまで落とし込みます。
営業の標準化が実現し、組織全体の営業力の底上げにつながります

「営業の型化」の一環として営業資料の統一やその資料を使った効果的な商談の進め方を
浸透されることで中途入社者の即戦力化や売上の向上につながります。

最近浸透しているセールスイネーブルメントの取り組みの一環としても
営業コンテンツの整備としてこのような取り組みは必要になります。

今回はアプローチブック制作の過程の振返りと制作後に必要な更新についてお伝えしていきます。

アプローチブックの制作 ー現状把握ー

アプローチブック制作には次のような3つのステップがあります。
(1)現状把握(調査・分析)
(2)制作
(3)習得(研修)

(1)現状把握(調査・分析)
まずは現在の自社の営業体制や活動内容を整理します。

1.営業戦略を立てて、どの商品を売る必要があるのか明確にする。
:どの商品に対する売り方を標準化していきたいのか?

2.商談相手に響くような商談の流れを分析する
:トップ営業はどのような流れで商談を進めているのか?
※実際の商談に同行するか、営業ロープレの実施が効果的

3.第三者的立場で自社の特長を考察する。
:顧客は自社の商品のどこに魅力を感じているのか?

4.売れる営業の流れ、仕組みを言語化する。
:商談の流れの中でそれぞれどんなことを伝えているのか?
※スクリプトというよりはセールストークのポイントを整理する
例:クロージングでは不安を払拭するためにA社の事例を紹介する

1~4のステップで現状把握を行い、最終的にセールスストーリーとしてまとめます。

具体的には「なにを」「どう」「いつ」伝えているか?
売れる営業の「話題の選び方」「その伝え方」「順序やタイミング」を
調査・分析し、顧客目線を加え、商談を設計します。

1)アプローチ:アイスブレイク、自己開示
2)ヒアリング:仮説構築、課題の把握
3)プレゼンテーション:課題に対する解決策の提示、デモンストレーション
4)クロージング:不安の払拭、ネクストアクションの設定

この内容に沿って「何を盛り込むか」を考え、セールスストーリーを構築します。
例えばアプローチで、自身の自己紹介カードを渡す、などです。

アプローチブックの制作 ー制作・習得ー

セールスストーリーが完成したらアプローチブックの制作に入ります。
「どう伝えるか」を考え、商談で使う営業ツールに落とし込む作業が「制作」です。

結果として全営業メンバーにとっての「バイブル」が完成するのです。

以下がコンテンツ・作り方(主にデザイン)のポイントです。

・文字だけでいいの?
:見やすい図や表を入れる。
文字だけでは伝わりづらい表現は、図や表を入れることによって伝わりやすくなります。

・色はカラフルの方がいいの?
:目立たせたいからといって色や図形を多用すると、見づらくなってしまいます。
使用する色はベースカラー(70%)・メインカラー(25%)・アクセントカラー(5%)の
色におさえましょう。

・1枚のスライドにはどれくらいのメッセージを入れたらいいの?
:ワンスライド・ワンメッセージが基本です。
制作に慣れていないと、あれもこれも『足して』しまいがちですが、
余分なものを『引く』ことを意識するとシンプルで美しいスライドが出来上がります。

そして「習得」です。
アプローチブックを使いなこなせるようにトレーニングをします。

・ケーススタディを多様した、リアリティある営業ロープレ
・お客様の反応で心の動きを察する洞察力を鍛えるコンテンツ

概要よりも、実例です。技術力よりも、洞察力。一般論より、具体論。
このように営業ツールを活用するための研修では、
実践に即して、「人」を鍛えます。

営業ツールで標準化をしても、結局それを操るのは「人」。
営業ツールという「武器」を与えても、それを操る「人」を育成しなければ、
せっかく全員の叡智を集結したアプローチブックも宝の持ち腐れです。

再度に必要になるステップが更新です。

更新の重要性

上記のように現状把握から習得までうまくいったとしても
それだけでは継続的な営業力の強化は難しいです。

理由はいくつかあります。
・ターゲット変更
:市場や競合状況によって訴求するメッセージやターゲットが変更になることもあるでしょう。
アプローチブックの中の事例やサービス紹介のページを変更することが必要になります。

・サービス変更
:自社サービスは定期的にアップデートされるのでアプローチブックの更新は必要です

・競争の激化
:競合が増えてくると他社の対しての特長の整理やオブジェクションハンドリングと
呼ばれるよく聞かれる質問に対するカウンタートークが必要になります。
他社ツールとの比較や事例ページの更新など。

売上が下がってきた場合やサービスのアップデートの際に
アプローチブックを定期的に見直すとよいでしょう。

また更新する場合のプロジェクト体制は最初にアプローチブックを制作した
メンバーが適切でしょう。一番NGなことはマーケティングや企画のメンバーだけで
アプローチブックをアップデートしてしまうことです。

顧客の声を反映しないと課題感にマッチしない場合があり、
商談には使えない可能性があります。絶対に現場の営業マネージャーや
トップ営業に確認をしながら更新をするようにしましょう。

まとめ

アプローチブックの制作のポイントとして現状把握から習得、
そして「更新」の必要性についてお伝えしてきました。

以下の理由によって定期的に更新していく必要があります。
・ターゲットが変更
・サービス変更
・競争の激化

このような場合にスムーズに資料を更新するためにも
日々の営業データを蓄積していくことが必要です。
・どんな提案が顧客にささったのか?
・どのような個別資料を使ったのか?
・最近はどんな業界での受注率が高いのか?

これらが残っているとコンテンツのアイデア出しや制作が楽になります。

定期的に更新する場合のチーム体制は最初にアプローチブックを制作したメンバーが適切です。

ぜひ営業の標準化を検討されている場合こちらの記事を参考にしてみてください。