営業マニュアル制作の5つのポイント|業務の仕組化と定期改善のために

営業マネジメントに関わる皆さん経営層の方は組織がある程度の規模感になると「仕組化」に着手するでしょう。そしてマニュアルを整備することが決まり、プロジェクトを発足させ、何度かの会議を重ねて完成させるでしょう。
しかし、いざ運用が始まると最初は利用するけどある程度時間が経つと誰も使わなくなることはないでしょうか?
今回はそのような事態を避けるべく営業マニュアル制作のポイントをお伝えしていきます。

 営業マニュアルのメリット

そもそも営業マニュアルの導入の目的は何でしょうか?
・新入社員が業務に早期に慣れる
・業務を標準化して管理する
・現場での人材育成の際に使う
・社員に会社の理念や風土を理解させる
・営業ノウハウを蓄積し日々業務を改善する

色々あると思いますが特に最後の項目は重要なのではないでしょうか。一番まずいのが営業マニュアル制作に時間を割いたのにも拘わらず全く現場で使われないということです。

例えば、営業では少し前までは「カンと経験」が重視され、属人化が進んでいました。
その為、営業現場にマニュアルを制作しても
「商談はマニュアル通りにいかない」
「営業マニュアルはあるけど使えないから見なくてもよい」

と言ってしまう先輩社員もいるのではないでしょうか。

営業マニュアルの制作ステップ

0.目的を明確にする
どんな社員に向けてか?
マニュアル利用でどんな成果を出してほしいのか?
などを明確にします。
例)営業に関わる全社員、リードタイムが1か月以内の新規受注

1.営業フローを整理する
営業活動でどんな行動をしているのか?
顧客獲得のためにはどんなステップがあるのか?
営業ツールはどんなタイミングで使うのか?
などを整理します。
例)テレアポ、問い合わせ対応、初回商談、提案、クロージング、見積もり提出、受注、サポート

2.言語化する
1で洗い出した内容を行動に落とし込めるように言語化します。
例)リスト作成、アプローチ先の調査、問い合わせ内容の確認、アポイント打診、初回商談準備、提案書作成、クロージング、見積書作成、社内稟議、請求処理

3.制作を開始する
どんな体裁なのか?誰が制作するのか?
を決めて制作を開始します。
例)Word、Googleドキュメント、PDFファイルなど

4.活用スタート
現場の営業パーソンの営業マニュアル活用をスタートします。

5.定期的に振り返る
営業フローや商材がアップデートされることも多いので定期的に振り返るような体制を作りましょう。改善を繰り返すことで使い続けられる営業マニュアルが完成します。

よくある営業マニュアル制作の問題点

とはいうものの営業マニュアルの浸透がうまくいかないケースもあります。よくある問題点をいくつか考えてみました。

1.経営層だけで制作してしまう
普段現場にいない経営層が企画から制作まで全て行う。マニュアル通りにいかない業務が多く、結果的に現場では使いものにならない。

2.フォーマットがバラバラ
業務内容によってマニュアルのフォーマットがバラバラな為、使い勝手が悪く最終的に誰も使わない。具体的にどんな業務をしている時にどこを見ればよいのかわからない。

3.抽象的な表現が多い
「商談後に顧客にフォローをする」など抽象的な表現が多く、人によって捉え方が異なり行動が統一されない。

4.完璧なものを目指しすぎてしまう
インタビューや会議を繰り返し、かなりの時間をかけて制作。
結果、営業マニュアルの完成がゴールになってしまい、出来上がる頃には業務の内容が変わりまた作り直しになる。

5.作ったらおわり
制作後はプロジェクトチームも解散。いつのまにかマニュアルに書いてある業務が変わり、マニュアルが陳腐化してしまう。
他にもまだまだあると思います。御社の営業マニュアルにはこんなことがないことを祈ります。

営業マニュアル制作のポイントとアプローチブックとの違い

今まで述べてきたような問題が生じないようにする為に営業マニュアルの制作のポイントをいくつか紹介します。

1.プロジェクトチームには現場の人間を参画させる
現場の方を絶対にプロジェクトチームに入れるようにしましょう。普段の業務の中での細かい注意点や、忘れがちになる業務内容が明らかになるでしょう。

2.フォーマットを統一する
フォーマットを統一して見やすくしましょう。以下の項目は最低限入れるようにしましょう。「いつ」「誰が」「何を」「なぜ」するのか
また、業務のゴールを具体的に設定することも重要です。

3.網羅性を出す
全体の営業フローを明示し、どのような状態の時にどのページの業務フローを参照するのかを記載する。抜けている業務があればマニュアルに随時追加していく。

4.誰にでもわかる言葉で書く
マニュアルを参照する新入社員が多いと思います。社内用語や専門用語はなるべく使わずに表現するようにしましょう。
専門用語や社内用語の用語ページを作ることをおすすめします。

5.定期的なアップデートをする
定期的に現場のメンバーから業務のフィードバックを受けてマニュアルも日々改善していきましょう。場合によってはマニュアルを改編する独立した部署を設置することも良いでしょう。

営業マニュアルとアプローチブックの違い

本コラムでは営業ツールであるアプローチブックも何度か紹介してきました。
(コラム「新人からトップセールスまで使える営業ツール|アプローチブックとは?」

アプローチブックと営業マニュアルの違いは、アプローチブックは商談そのものに焦点を当てて商談のセールスストーリーを作り、パワーポイントに落とし込んで視覚化していきます。それに対して営業マニュアルは営業活動全般に焦点を当て、営業の基本的な所作、マインド、その時々によって使う営業ツールまで記載されています。

営業マニュアルの効果測定

営業マニュアルで「定期的なアップデートをする」ことが重要であると述べました。それでは、どのように効果測定をしてどのような改善をしていけば良いでしょうか。 ここでは、営業マニュアルの効果測定の具体例を解説します。

活用頻度を確認する

まずは制作したマニュアルを活用してもらうことが重要です。営業マニュアルの活用頻度を確認してみましょう。毎週の営業会議でメンバーに聞くなど定期的に確認していきましょう。最近ではコンテンツマネジメントツールを活用することで資料が使われている回数をカウントすることができます。

新人営業の立ち上がりのスピードを測る

営業マニュアルの導入メリットとして「新入社員が業務に早期に慣れる」、つまり新人の早期即戦力化があります。入社した営業がどのくらいの期間で初受注に至ったのかを計測することで営業マニュアルの効果を探ることができます。営業マニュアルの運用開始以前と比べてどれくらい早くなったのか比較してみましょう。

売上の変化を比較する

営業マニュアル運用後の売上の変化も効果測定の一つです。 営業マニュアルが活用できていれば、適切なタイミングで適切なアプローチができるようになるため、機会損失を防ぐことが可能になるでしょう。結果として、売り上げ自体に変化が生まれ、マニュアルの効果を測定できます。 しかし、注意点もあります。リードタイムが長い商材であれば売上につながるまでの時間も長期化します。そのため、計測期間を長くとることも場合によっては必要になるでしょう。

一人当たりのアポイント率/案件化率を比較する

一人当たりのアポイント率や案件化率を比較する方法もあります。 営業マニュアルにより、営業力を上げるためのノウハウを共有することができたはずです。ノウハウが全体に共有されることで、社員の知識量の差が少なくなっていると予測できます。 全社員が同じノウハウをもとに営業を進めることで、営業マンの一定の質が担保され、個人のアポイント率の差が縮まっているはずです。

営業現場にアンケートをとる

定性情報として、営業マニュアルを使用した社員の声をアンケートとしてまとめることも効果的です。 追加してほしい情報や資料が出てくる場合もあるでしょう。使いやすさなどを実際にアンケートとして集計することで、マニュアルの改善に役立てることができます。

まとめ

以上のように営業マニュアルを制作するには
■営業マニュアルの制作手順
1.営業フローを整理する
2.言語化する
3.制作を開始する。
4.活用スタート
5.定期的に振り返る

いくつかの注意点があります。

■営業マニュアル活用の注意点
1.プロジェクトチームには営業現場のメンバーを参画させる
2.フォーマットを統一する
3.網羅性を出す
4.誰にでもわかる言葉で書く
5.定期的なアップデートをする

■営業マニュアルの効果測定例
1.活用頻度を確認する
2.新人営業の立ち上がりのスピードを測る
3.売上の変化を比較する
4.一人当たりのアポイント率/案件化率を比較する
5.営業現場にアンケートをとる


上記を意識してノウハウや経験を蓄積させ、日々改善を続けていきましょう。
そして、業務の標準化だけでなく、社員が営業マニュアル通りに行動すれば自然と成長していくような自社モデルを意識して作っていきましょう。

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