セールステックツールと呼ばれるSFA/CRMやMA(マーケティングオートメーション)ツール
を導入する企業が増えています。
「営業生産性を上げる」、「売上を○○%向上させる」という目的
で導入する企業は多いですが、失敗するケースも多いようです。
導入して1年経って振返ってみると、
「SFAに誰も入力しない」
「MAでシナリオを組めない」
「ツールを使ってるみたいだけど全く売上が伸びない」
など感じる経営者が多いでしょう。
結果的に1年で解約してエクセル管理に戻ることも少なくありません。
今回は売上が上がらない理由や、売上を向上させるために必要なことを紹介していきます。
ツールの導入だけでは営業力は強化されないという事実
そもそもセールステック(SalesTech)とは
広義では『営業活動をテクノロジーの力で効率化し、
成果を最大化するための新たな手法・活動・技術』のことを指す
(出典:ITR White Paper「営業課題の解決に向けた SalesTechの考察」)。
SFA(営業支援)ツールやCRM(顧客管理)ツールを含んだ、
“営業活動への科学的アプローチ”を実践するための取り組みを総称したもので、
金融業における「FinTech」や農業における「AgriTech」などの営業バージョンといえます。
ITRが2018年6月に実施した「営業力の強化・レベルアップに向けたSalesTech活用ニーズ調査」によると、
SFA/CRMの導入により、案件・顧客管理や商談情報の見える化には効果が現れたという回答が
多かった反面、提案力の強化や営業スキルの標準化という営業力の向上面に関しては
あまり効果がないという傾向がありました。
営業力の強化につながらない理由
ツールを導入してもなぜ成果につながらないのでしょう。
理由は様々あるでしょう。
理由1.ツールを使いこなせていない
SFA/CRMの導入目的に「営業の見える化」があるでしょう。
しかし見える化だけしても、見れるようになったデータからPDCAを
回せていないのでないでしょうか。
例えば、
・営業フェーズの移行率から営業パーソンごとの弱点を分析する
・トップ営業と他の営業メンバーの活動履歴から差分を明確にする
・パイプライン分析により売上予測の精度を上げる
などなど、SFA/CRMをしっかり活用すると上記のようなことができます。
しかし、日報レベルしか使いこなせていないことが多いのでないしょうか?
MAについてもただのメール配信ツールとしか使えておらず、
本来の「マーケティングオートメーション」としてリードのセグメント分けや
ターゲットに合ったナーチャリングができていないことがあるかもしれません。
理由2.商談自体のブラックボックス化が解消されない
たしかにセールステックツールを導入すると商談の前後や活動量や売上などはそれぞれ見えますが、商談の中身は営業同行してみないと分からないこともあります。
また、営業マネージャーが同行してもメンバーの営業力の差がわからない、ということもあります。
理由2に関しては現在の日本のセールステックツールでは難しい部分もあるので
ツールに頼るのではなく、人の力に依存する部分がまだまだ多いでしょう。
では、どのように商談のブラックボックス化を解決すればよいでしょうか?
セールスイネーブルメントの実践と営業の標準化がキーになります。
セールスイネーブルメントと営業の標準化
トップ営業のように売れる営業の仕組みを作って改善し続ける全体的な取り組みが「セールスイネーブルメント」と呼ばれています。
リード獲得から受注までの流れでデータを蓄積・分析することで成功パターンが見えてきます。(リードタイム、受注率、活動件数など)
そして成功パターンを営業トレー二ング、営業コーチング、営業コンテンツによって営業組織全体に落とし込んでいきます。
ツールの導入をセールスイネーブルメントの文脈で捉えると
どんなデータを取り、蓄積したデータを日々のマネジメントにどう活用するのか、が自然と見えてくるようになります。
誰でも同じように売れるようにする商談の標準化も
セールスイネーブルメントの一環で行います。
営業の標準化をするには以下の手順が必要です。
・ベテラン営業へのインタビュー(営業同行):営業コーチング(セールスイネーブルメントの位置づけ)
・会議(シナリオを決め、マニュアル化):営業コンテンツ
・売れる営業シナリオの可視化(営業ツール制作):営業コンテンツ
・営業の型の浸透(定期的な営業ロールプレイングと実践経験):営業トレーニング、コーチング
これを進めることで商談のブラックボックス化が解消されて
で組織全体の営業力が強化され、売上向上にもつながります。
最近ではオンライン商談が増え、商談を録画して共有したり、マネージャーが隣で商談を聞くことができるようになったので、以前より効率的に進められるようになってきています。
テキスト分析も発達しているので徐々にツールが活躍できる幅も増えています。
まとめ
今回はセールステックツール導入だけでは売上が向上しない理由と
解決策について紹介してきました。
■セールステックツール導入だけでは売上が向上しない理由
1.ツールを使いこなせていない
2.商談のブラックボックス化が解消されない
■解決策
・セールスイネーブルメントの実践と営業の標準化
・営業の標準化の実践手順とセールスイネーブルメントにおける位置づけ
1.ベテラン営業へのインタビュー(営業同行):営業コーチング
2.会議(シナリオを決め、マニュアル化):営業コンテンツ
3.売れる営業シナリオの可視化(営業ツール制作):営業コンテンツ
4.営業の型の浸透(定期的な営業ロールプレイングと実践経験):営業トレーニング、コーチング
SFA/CRM、MAを導入したけれど全く成果が出ていない場合は
売上創出までの全体の文脈で考えることやブラックボックス化されがちな商談の標準化に取り組むのはいかがでしょうか?
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