セールスイネーブルメントとチャレンジャーセールスの育成

セールスイネーブルメントとチャレンジャーセールスの育成

インターネットの発展や顧客の行動の変化によって
営業活動も変わってきています。

「初回商談までに顧客の購買プロセスの57%が完了している」
という驚くべき統計結果があります。

インターネットやwebマーケティングの発展によって
検索をすれば興味のあるサービスの情報を簡単に得ることができます。

そのため、見込み客は初回商談までにかなりの情報を持っている可能性が高いです。

今まで通りの提案ではなく、これからは、顧客に対してインサイト(気付き、洞察)を
与えて顧客を巻き込んでいくような営業が求められてきます。

それが「チャレンジャー」と呼ばれる営業モデルです。

今回は「チャレンジャー」型の営業スキルの紹介や
セールスイネーブルメントとの関係を紹介していきます。

顧客の活動の変化とインサイト営業

そもそも「チャレンジャー」型の営業モデルはどのようなモデルなのか?
営業パーソンの5つのタイプと一緒に紹介していきます。
(「チャレンジャー・セールス・モデル 成約に直結させる「指導」「適応」「支配」」を参考)

1.リレーションシップ・ビルダー(関係構築タイプ)
:誰とでもうまくやる、顧客の組織に協力な賛同者をつくる

2.リアクティブ・プロブレムソルバー(受動的な問題解決タイプ)
:細部に気を配る、すべての問題を解決する傾向がある、内外のステークホルダーから信頼される

3.ハードワーカー(勤勉タイプ)
:簡単にあきらめない、常にもうひと頑張りする、

4.ローンウルフ(一匹狼タイプ)
:直観に従う、自信家、管理しにくい

5.チャレンジャー(論客タイプ)
:顧客のビジネスを理解する、顧客に強引に働きかける、議論好き

タイプによってパフォーマンスは異なるのでしょうか?

シンプルな案件でのハイパフォーマーの割合は
リレーションシップ・ビルダー:11%
プロブレムソルバー:18%
ハードワーカー:26%
ローンウルフ :25%
チャレンジャー:20%

と、そこまで変わりません。

しかし、複雑な案件(複雑な商材でリードタイムが長い)でのハイパフォーマーのうち、
54%がチャレンジャーです。

リレーションシップ・ビルダー:4%
プロブレムソルバー:7%
ハードワーカー:10%
ローンウルフ :25%
チャレンジャー:54%

チャレンジャーの特長と育成

チャレンジャーの特長を整理すると以下のようになります。

・顧客にインサイトを提供する
・顧客のビジネス理解があり、業績促進要因を知っている
・顧客のキーパーソンを見つけることがうまい
・キーパーソンを巻き込み共感を得ることをしている
・営業プロセスをリードすることができる

顧客の潜在的な課題と解決策を気付かせる(指導)、
キーパーソンを巻き込むよう共感を得る(適応)、
そして意思決定や実行のタイミングを握る(支配)、
この3つがポイントになってきます。

このように、複雑な案件に対してパフォーマンスが高いチャレンジャーの営業パーソンを
自社の営業組織に増やすにはどうすればよいのでしょうか?

もちろん採用の際に普段の営業活動に対していくつかのケースを提起し、
回答内容によってチャレンジャーかどうかを判断することもよいでしょう。

しかし採用の難易度も高く、かなり難しいかもしれません。
そこで必要になるのがセールスイネーブルメントです。

セールスイネーブルメントを浸透させ、
普段の営業活動の中でチャレンジャーに近づけるような
営業コーチングを行うことです。

セールスイネーブルメントの実践

例えば、日々の案件コーチングの際に
顧客のビジネス理解、キーパーソン情報、課題に対して
徹底的に議論をし、営業プロセスを支配できるようなアドバイスをします。

そうすることで徐々にチャレンジャーセールスが持つ
営業スキルが刷り込まれていくのです。

セールスイネーブルメントの全体像を紹介します。

・カスタマーパスの整理
:顧客の心理的な変化に合わせた行動パターンを整理します
(例;認知⇒購買⇒評価)

・営業プロセスの整理
:カスタマーパスに応じた自社の営業プロセスを整理します
リモートワークがメインになると訪問⇒提案のプロセスも変わるでしょう

・営業コンテンツの準備
:カスタマーパスに沿って必要なコンテンツを制作します
アプローチブックや営業マニュアルもここに含まれます

・営業トレーニング
:営業の方法論の習得を目的とします
商談の方法(対面、オンライン)やそもそもの自社の営業プロセスの定着など
ここでチャレンジャーの営業の型を頭で覚えます。

・営業コーチング
:日々の営業活動についてマネージャーがアドバイスします
ここでチャレンジャーの営業スタイルを実戦を通じて刷り込ませます。

・部署間連携
:定期的に各プロセスの歩留まりや営業パーソンのパフォーマンス(売上、受注率、活動量)を
分析し、改善案を出して会社全体で新しい施策を実践します

まとめ

以上のように複雑な案件(複雑な商材でリードタイムが長い)で高いパフォーマンス
を上げるのは、「チャレンジャー」型の営業です。

・「チャレンジャー」営業の特長
:顧客にインサイトを提供する
:顧客のビジネス理解があり、業績促進要因を知っている
:顧客のキーパーソンを見つけることがうまい
:キーパーソンを巻き込み共感を得ることをしている
:営業プロセスをリードすることができる

・「チャレンジャー」営業に必要なスキル
:顧客の潜在的な課題と解決策を気付かせる(指導)
:キーパーソンを巻き込むよう共感を得る(適応)
:そして意思決定や実行のタイミングを握る(支配)

・「チャレンジャー」営業の育成方法
セールスイネーブルメントの実践

今後、一部の営業はテクノロジーに置き換わるでしょう。
一方で難易度の高い商材の営業は引き続き残るでしょう。
そんな時に活躍するのが「チャレンジャー」型の営業です。

自社の営業組織にはどれくらいいるでしょうか?