「営業の属人化から脱却したい」
「営業を見える化したい」
「誰でも売れる仕組を作りたい」
など様々なご相談をいただきます。営業組織へのインサイドセールスやカスタマーサクセスの導入により、営業が商談に集中できるような体制が整いつつあります。
また、マーケティングと営業の連携により、
資料ダウンロード⇒問合せ⇒初回訪問
までの流れがスムーズになってきています。一方で、顧客の購買行動がデジタル中心になり、営業へ問合せするまでにほとんどの購買活動を終えている、とされています。
そのため顧客の現状を把握し、課題に対して自社サービスによる解決策を伝える質の高い商談は今までよりも必要性を増しています。営業メンバー全員が質の高い商談をできれば良いのですが、一人のトップ営業に頼りっぱなしの組織も少なくありません。また営業ノウハウが共有されず、営業が属人化している組織もあるでしょう。
そこで今回は営業が属人化から脱却し、営業の標準化を促進する為の方法をお伝えしていきます。
営業の属人化とは?
顧客とのやりとりの履歴が個人に依存してしまったり、各営業が独自の営業活動をし、営業ノウハウの蓄積がされない、などを営業の属人化と言われます。営業活動の属人化は様々な問題があるので、できるだけ属人化が進まないようにしたいところです。具体的にはどのような問題があるのでしょうか?
営業の属人化による問題点
大きく以下の5点があります。
・営業成果のバラつき
・営業マネジメントの難化
・即戦力化の遅れ(メンバー育成に時間がかかる)
・営業ノウハウが蓄積されない
・企業成長の鈍化のリスク
具体的な問題点を、営業マネージャ視点、メンバー視点そして営業組織全体の視点で紹介していきます。
(営業マネージャー)
「商談の後は失注か受注で、それまでにどのような営業がされているか何もわからない」
「誰が、どのような提案をしているのか、リアルタイムでわからない」
「営業が現場で『なにを』『どう』言っているか、それがわからない」
「新人の定着・立ち上がりが遅い」
「個々のメンバーに適したアドバイスが難しい」
(営業メンバー)
「営業の進め方がわからない」
「サービス理解を深めたいが資料がない」
「他のメンバーから成功事例を吸収したいが、情報が残っていない」
「退職者から引き継いだ顧客のやりとり情報が残っていない」
「同じ営業ツールはたくさんあるがいつも同じものしか使っていない」
(営業組織全体)
「同じ営業資料を使ってもメンバー間で受注率が全く違う」
「目標を達成しない時期が続き、組織全体の受注率も全く改善しない」
「トップセールスが抜けてから受注数が大幅に下がった」
「営業の進め方が人それぞれなので、営業ノウハウが蓄積・共有されない」
「営業メンバーが定着せず売上成長しない」
一方で成果を出しているトップセールスも以下のように感じています。
「『なに』を『どう』営業したかなんて、説明できない」
「どうやったかなんて関係ない。結果が出ればそれでいいじゃないか」などなど
では何が原因で営業の属人化が進むのでしょうか?
営業の属人化の原因
営業組織に明確なルールがない
初回商談の定義や提案の進め方、情報の残し方について明確なルールがない場合
会話の共通項も少なく、「受注」「失注」などの粗い粒度での会話が増えてしまうでしょう。
それでも売れるトップセールスは存在しますが、かなり限られるので
組織全体の受注率を高い水準にすることは難しいでしょう。
また顧客とのやりとりの履歴も情報を残す、残さないで大きくバラつく可能性が高く
引き継ぎ時のトラブルにつながりかねません。
営業ノウハウを蓄積・共有する余裕がない
営業組織にルールがあっても機能しないことがあります。
多くの営業担当者が、目標の売上達成に向けて、日々顧客対応を行ったり、提案資料を作成したりと、
さまざまなタスクを抱えています。これらの業務は、個人で担当することも多くなります。
外出も多く、個人での業務を多数抱える中で、わざわざ情報共有をする時間的余裕はないという営業担当者もいるでしょう。
営業の属人化を防止するための対策が行われていない
余裕がなかったり、ノウハウ共有の仕組みがない場合は、独自の方法での営業活動が当たり前となり、属人化した状態から抜け出すことが難しくなります。
属人化を解消するための仕組作りが必要です。しかしすぐに受け入れなるとは限りません。
顧客情報を効率よく蓄積する仕組みを作るために、営業ノウハウをチーム内で共有する理由の周知、
そして、情報共有を標準化させるためのルールやツールの導入・活用を進める必要があります。
ルールに沿って日常的に振り返る仕組みがあれば、属人化の抑止力に繋がります。
これらのような問題に対して営業の属人化から脱却する方法を紹介していきます。
営業の属人化から脱却する方法
営業の属人化から脱却するために、今回は大きく2つの観点から解決策を考えていきます。営業プロセスの標準化(営業活動のルール設定)と商談の標準化・型化が必要になります。両方を実践することで営業の標準化が実現されます。
営業プロセスの標準化(営業を見える化する)
メリット:営業チームの各活動状況が明確になる
営業メンバー全員の動きを見える化し、トップセールスの動き(メール、電話、訪問の内容)をメンバー全員が共有できる方法を考えます。
⇒営業活動の属人化からの脱却
商談の標準化
メリット:トップセールスの売り方を可視化して浸透させる
トップセールスの商談の流れを可視化し、新人営業が中途入社のメンバー―でも同じ営業ができるような方法を考えます。
⇒商談の属人化からの脱却
営業の標準化を進める方法
現状分析
現状の営業プロセスや商談の流れを整理します。例えば以下について整理します。
・営業プロセス
アポイント取得の流れ(テレアポと自社への問い合わせ、それぞれの対応方法は?)
初回商談の条件(ニーズがなく挨拶程度でも訪問するのか?)
初回商談後の流れ(ネクストアクションはどのような種類があるのか?)
案件化の条件(どのような条件で提案するのか?初回商談から何日以内か?)
クロージング提案の流れ(何回目の商談で提案するのか?)
など
営業ルールが全く設定されていないと営業メンバーは様々な進め方をしているでしょう。
ルールを設定して浸透させることで営業プロセスの標準化に近づいていきます。
営業ルールの設定
営業フェーズを整理し、それぞれのフェーズでするべきルールを明確にします。
(例)
リード(資料DL/アポ調整中):(注意点)BANTは確認したか?
初回商談:(注意点)決裁者は同席するのか?
提案:(注意点)ニーズがあり自社のサービスで解決できるのか?
クロージング:(注意点)決裁者、予算はクリアしているか?
見積提示:(注意点)値引きの基準は満たしているか?
受注:(注意点)入金は問題ないか?
営業を進める上で上記の進め方を浸透させることでメンバーの進捗がわかるようになります。上記の営業フェーズ名を設定することもよいですが、「顧客の事実ベース」でのフェーズ名を設定を行うことでメンバー間での誤解も減るでしょう。
(例)
リード
有効会話
初回商談
課題の合意
ソリューションへの価値理解
意思決定者の合意
スケジュール/体制の合意
金額面での合意
書類の取り交わし
営業支援ツールの導入
・SFA/CRMを活用する
メリット
・営業メンバー全員の営業活動の状況が見える化される
・個々の案件に対してどのようなタイミングでアプローチしているか把握できる
・初回コンタクト~受注までの流れが見えることでトップセールスと比べて自分の強みや弱みを分析できる
※もちろんただツールを導入するだけでなく、自社独自の運用ルールの構築やルールの浸透が必須になります。
アプローチブックの制作/浸透
・アプローチブックを導入する
アプローチブックに関する情報はこちらから
(https://saleskyouka.jp/approrachbook)
メリット
・売れる営業の流れが可視化・具現化される
・新人営業の早期の即戦力化が実現できる
・何度も商談資料を作る必要がなくなる
※SFAと同様にアプローチブックを制作するだけでは成果は出ません。
利用方法を浸透させるためにも使い方の研修やロープレの導入は必要です。
まとめ
以上のように営業の属人化による問題と解決策を紹介してきました。
■営業の属人化とは
顧客とのやりとりの履歴が個人に依存してしまったり、各営業が独自の営業活動をし、営業ノウハウの蓄積がされないような状態
■営業の属人化の問題点
・営業成果のバラつき
・営業マネジメントの難化
・即戦力化の遅れ(メンバー育成に時間がかかる)
・営業ノウハウが蓄積されない
・企業成長の鈍化のリスク
■営業の属人化の原因
・営業組織に明確なルールがない
・営業ノウハウを蓄積・共有する余裕がない
・営業の属人化を防止するための対策が行われていない
■営業の属人化から脱却する方法
・営業を見える化する(営業プロセスを標準化する)
・商談の標準化をする(トップセールスの売り方を可視化して浸透させる)
■営業の属人化の解決手順
・現状分析
・営業ルールの設定
・営業支援ツールを導入する
・アプローチブックを導入/浸透
4点とも実施するだけでなく、現場の営業に浸透させることが重要になります。
会社の状況に合わせて導入のタイミングを検討してみて下さい。
例えば以下のようなタイミングです。
・メンバーが増えて、Excelと対面だけでの共有が難しくなってきた
⇒SFAを導入
・創業メンバーが営業の現場から抜けるので営業のノウハウを整理したい
⇒アプローチブックを導入
自社の営業の標準化のヒントになれば幸いです。
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