営業活動する前に事前準備をすると思います。
会社概要、事業内容、競合会社、業界のトレンドなど
様々でしょう。
特に新規でアプローチする企業に対しては
事前準備が重要になってきます。
(コラム「これだけは必ず!初回商談前に準備すべき3C分析」)
IRや決算書を読む、
といったことも行うでしょう。
しかしそもそも財務諸表のそれぞれの役割について
皆さんは説明できるでしょうか?
損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の
概要と見るべきポイントをお伝えします。
財務諸表を理解して営業活動に活かす
営業活動で財務諸表が読めるメリットはなんでしょうか?
・経営の健全性がわかる
・数値からの提案ができる
・アイスブレイク等のセールストークに使える
などなどたくさんあるでしょう。
そもそも財務諸表とは?
企業が利害関係者に対して一定期間の経営成績や財務状態等を
明らかにするために複式簿記に基づき作成される書類である。
日常用語としては、決算書(又は決算報告書)と呼ばれている。
(Wikipediaより引用)
この財務諸表の中に
「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」
の3つの決算書が含まれます。
各決算書の概要とは?
貸借対照表
貸借対照表というのは、
[会社が事業資金をどうやって集めて、
どのような形で保有をしているか、
(会社の財政状態)を示すもの」です。
貸借対照表で会社の持っている財産や借金を読み取ることができます。
左側で資産を表し、右側で負債と純資産を表します。
<見るべきポイント>
・流動比率
流動比率 = (流動資産 ÷ 流動負債) × 100
1年内に現金化可能な資産と1年内に返済しなければならない負債の比率。
会社の短期的な安全性をみることができます。
※一般的には200%以上であれば安全性は高いといえます
・当座比率
当座比率 = (当座資産 ÷ 流動負債) × 100
当座資産は、現金・預金・売掛金・有価証券など、流動資産の中でも
特に換金可能性の高い資産を意味します。より厳密な安全性を見ることができます。
※一般的には120%以上であれば安全性は高いといえます。
しかし棚卸資産など換金性のない資産も含めてしまっていることもあり、
数値上は問題なくても手元に資金がなく、黒字倒産に陥ることもあります。
・自己資本比率
自己資本比率 = (純資産 ÷ 総資本合計) × 100
総資本とは、負債および純資産の合計のことです。
自己資本の割合が高ければ、財務的な安全性は高いといえます。
※一般的に20~30%であれば良い評価がなされ、
50%を超えていると理想的だと言われます。
ちなみに中小企業の場合は15%くらいが平均とされています。
損益計算書
損益計算書というのは、
「期間ごとの経営成績を表すもの」です。
損益計算書を読み解くことで、会社が稼いだ金額はもちろん、
稼ぐためにかかった費用や本業 or 副業で稼いだのか?
という点まで把握できます。
(例)売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益など
<見るべきポイント>
・ROA(Return on Asset 総資本利益率)
ROA = (当期純利益 ÷ 総資産) × 100
これは資本も負債も含めて集めた資金をどれだけ効率的に
運用できているのかということを示している指標です。
※一般的に、ROAが5%を超えていると優良企業であると判断されます。
業種によって基準が変わってくるため、同業種の水準と比較することが必要。
・ROE(Return on Equity 自己資本利益率)
ROE = (当期純利益 ÷ 自己資本) × 100
(分解すると、売上高当期純利益率×総資産回転率×財務レバレッジになります。)
自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、
財務分析の指標です。企業の収益性判断の指標として、
また株式投資の指標として重要視されています。
※一般的には、10~20%程度であれば優良企業と判断されます。
キャッシュフロー計算書
「実際のお金の流れで会社の実態を表す財務表」です。
営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)、
投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)、
財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)の
3つに分けられます。
これらの計算書を読み解くことで、
お金がしっかりまわっているかどうかという倒産リスクを見極めたり、
会計期間の始めと終わりでどれくらいお金の流れに変化があったのか?
など読み取ることができます。
(見るべきポイントについてはこちらをご参照ください。)
コラム「キャッシュフロー決算書の見分け方|営業準備・営業戦略の参考に!」
<例>損益計算書から読み取れること
上記で説明したROAやROEを確認することにより、
以下のことがわかります。
ROEが(平均より)高く、ROAも(平均より)高い会社
優良企業であるといえます。財務レバレッジ(どれだけ負債を使いこなしているか)
を上手に活用できており、収益性も高いと判断できます。
自己資本比率など財務の健全性を示す指標も参考にしましょう。
一般には優良企業に分類されます。
※財務レバレッジ = 総資産 ÷ 自己資本
ROEが高く、ROAは低い会社
優良な資本集約的な会社に多い傾向です。
工場などの設備投資が多額に必要な業態では、借入金が大きくなる傾向があります。
しかし、借入金が多く、低ROAの企業の場合、
金利上昇や景気悪化などにより一気に業績が悪化するリスクがあります。
ROEが低く、ROAは高い会社
財務レバレッジを有効に活用できていない会社です。
無借金経営の会社などにありがちなパターンです。
無借金は財務健全性から評価できますが、株主から預かっている資金を
有効に活用できていないとも言えます。
金を余らせているなら配当などの形で株式還元を迫られるような会社でもあります。
ROEが低く、ROAも低い会社
株主からの資本を効率的に活用できていないというのに加えて、
資産の回転率も低い会社です。薄利多売の事業に多いかもしれません。
※資産回転率 = 売上高 ÷ 総資産
まとめ
以上のようにキャッシュフロー計算書だけでなく、
損益計算書や貸借対照表からも多くの情報が得られます。
今回は有名な項目を紹介しましたが、他にも様々な指標があります。
単純に[売上」や「経常利益」の良し悪しだけでなく、
数値から得られる情報から仮説を立て、商談に活かしてみてください。
また自社の現状の理解や部下のマネジメントにも使って頂ければ幸いです。
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