休眠・既存顧客掘り起こしの重要性とは?休眠顧客の分類方法と掘り起こし3つの方法

 

今回のコラムは営業戦略についてです。

皆様のなかにはwebやセミナー等で、
「新規の顧客獲得は、既存からの受注に比べて約7倍の労力を要する」
(1:5の法則とも呼ばれています。)

という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。

今まで取引が無く信頼も確立できていない新規顧客を獲得することは
本当に大変で、それなりに覚悟がいることなのです。

もちろん、新規顧客を獲得する活動は非常に重要ですし、
企業や営業メンバーを成長させる上では、欠かせない活動となります。

しかし、優先度としては既存顧客へのアプローチが高いのです。

今回は既存客の掘り起こしの重要性について解説していきます。

しかし、優先度としては既存顧客へのアプローチの方が高いのです。

営業の掘り起こしとは?

営業活動には、新しい見込み客に対して営業活動をする「新規開拓営業」や、一度契約した顧客に継続したサービス利用を促したり、新しいサービスを提案する「既存営業」があります。普段の両方の営業活動から漏れてしまった顧客に対して営業のアプローチをするのが「営業の掘り起こし」です。

 

具体的には、以前自社との間で契約があったものの現在は取引をしていない企業や、あるいは受注にはなっていないが、営業がアプローチしている間に連絡が取れなくなってしまった見込み客に対して営業活動を行うこと(=休眠顧客)を言います。

既存・休眠顧客の掘り起こしが売上向上につながる理由

そもそも売上を上げるには、

1.顧客を増やす
2.平均購買単価を上げる
3.購買頻度を上げる

などの方法があります。

既存顧客や休眠顧客へのアプローチの方向性は2と3にあたります。

休眠・既存顧客とは?アプローチの優先順位

まず休眠顧客と既存顧客を整理します。

 

休眠顧客:以前自社との間で契約があったものの現在は取引をしていない企業

取引に至っていないが営業がアプローチしている間に連絡が取れなくなってしまった見込み客

既存顧客:サービスや商品を契約して継続利用中の顧客

 

アプローチの優先度としては

既存→休眠→新規の順番でアプローチするのが良いでしょう。

 

新規営業による受注は売上向上に欠かせません。

しかし、売上を効率よく、かつ確実に向上させるという意味では、

1)既存顧客の深堀

2)休眠顧客の掘り起こし

3)新規顧客の獲得

という順番になります。

というのも既存客の掘り起こしが効率的な理由がいくつかあります。

 

まず、冒頭にもふれた「1:5の法則」です。

新規顧客に販売するコストは既存顧客に販売するコストの5倍かかる、という法則です

 

5:25の法則」というのもあります。

顧客離れを5%改善すれば、利益が最低でも25%改善される、という法則です。

既存客の堀り起こしというよりは、受注後のフォローの重要性ですね。

 

実は、多くの会社が、まだまだ既存客からの売上を広げる余地を残しており、

休眠顧客やしばらく取引が止まっている会社への再アプローチを忘れがちです。

それぞれ具体的にはどのような施策を行えばよいのでしょうか?

既存・休眠客に対する掘り起こしの具体的な方法

アップセル、クロスセル、リードナーチャリングはあります。

2.平均購買単価を上げる
3.購買頻度を上げる

を更に具体的に考えていくと既存顧客に対して

1)取引単価のアップ:契約を継続してもらう
2)別部署の紹介依頼:他部署へのサービス導入
3)別商品の販売:別商品も導入してもらい、入り込む

など、いわゆるアップセルやクロスセルなどの方法があります。

参考記事:「クロスセルのポイントとは?|クロスセル成功はABMの有効活用!

また、休眠顧客については、実はお客様側の担当者が退職等で
変わってしまい、その後、後任の方に挨拶に行けていないだけなんてことも多々あります。

過去取引リストを見直し、1社1社の状況を営業メンバーに確認し、
ブラックリスト(何らかの事情で取引ができないお客様)だけを取り除き、
一斉にDMやメルマガ、もしくは電話等で再アプローチを仕掛けるのが良いでしょう。

こんな時に活躍するのがインサイドセールスやセールステックツールの活用です。

インサイドセールスは、
「見込客を育成し、温まった状態で営業に渡す」
というマーケティング支援と営業支援の役割を担っています。

インサイドセールスを組織化しておくで常に見顧客や休眠顧客を
チェックし、商談のチャンスを逃がしません。

是非インサイドセールスを組織化して、リード育成を進めましょう。

セールステックを活用することでインサイドセールスの業務も効率的になります。
例えば、SFA/CRMは過去の顧客とのやりとりが全て蓄積されています。
掘り起こしできそうな業界特性が見えてるくるので優先度を決めることがもできます。

また、MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用すると、
関係構築のメルマガやセミナーの案内を一斉に配信できます。
既存顧客がweb上でなんらかのアクションをした時(料金ページ閲覧、事例閲覧など)
にアラートメールを飛ばしてくれます。

タイミング良くアプローチでき、掘り起こしやアップセルにつながります。

既存・休眠顧客の掘り起こし方法・手順

アップセル、クロスセル、リードナーチャリング
を実施するにはどのような手順で進めればよいでしょうか?

1.データを整理してランク分けする
まずは自社のリストを整理して取引額や今後の売上の拡大見込を整理します。
その上で顧客をランク分けします。(A,B,Cなど)
そしてランクが高い企業を優先的にアプローチします。

2.継続的に人的なアプローチする仕組みを作る
インサイドセールスやカスタマーサクセスが
アプローチし、その履歴を残します。(面談内容、電話で話した内容など)

これを実現するのがCRMです。対応漏れをすぐに確認できる点もメリットです。
取引単価のアップに近づいているのか管理するために
フェーズを設定するのが良いでしょう。

3.リテンションマーケティングの実施
マーケティングオートメーションツールを用いて
オンラインでのアプローチを行います。
メルマガやキャンペーンの案内を定期的に行うことで顧客の離反を防ぎます。

この施策に反応した顧客に対してインサイドセールスやカスタマーサクセスがアプローチします。優先度が低い顧客に対して特に有効です。

既存・休眠顧客のアプローチ分類のポイント

売上(見込)額によって既存・休眠顧をランク付けしますが
更に以下のような観点でも整理しておくと優先順位が更につけやすくなります。

■既存顧客のサービスの利用(購買)頻度はどの程度か?
BtoBのITツールなどの商材であればどれくらいの頻度でログインしているのか、
BtoCの有形商材であれば購買頻度はどれくらいなのか、
を分析して頻度が高い既存顧客は優先的にアプローチしましょう。

■休眠までの契約状況はどの程度か?
1年以内なのか?それとも5年以上契約していたのか?
BtoBの場合は長期で契約していたのに解約したということで
かなりの事情がある可能性が高いので、解約理由も確認しましょう。

1年以内の契約で解約した場合は、他のサービスに乗り換えたとしても
同様に1年以内に解約する可能性が高いのでアプローチしても良いでしょう。

BtoCの場合は、長く契約していた既存顧客は優良顧客だったので
掘り起こせるチャンスはあるかもしれません。
こちらも解約理由を確認してみましょう。

■休眠期間はどれくらい続いているか
最後に接触してからどのくらい時間が経っているのか確認すると良いでしょう。
休眠期間が1年以上など長い場合は、BtoBの場合は状況がかなり変わっている可能性が高いので
優先的にアプローチした方が良いでしょう。

逆にBtoCの場合は、すでに商品やサービスに関心がなかったり、
別の競合商品を利用したりしている可能性が高いの優先度は低くなります。

このようなタイプの顧客は、掘り起こしの対象から外しておきましょう。

■何をきっかけに休眠しているのか?
機能不足で休眠に至った場合、該当する新機能がリリースされていれば
再アプローチのタイミングになるでしょう。

社内事情での休眠であれば期間を置いてアプローチすることで
社内体制も変わり問題が解決されているかもしれません。

なんらかのトラブルの場合はいくら売上の見込が大きい企業であっても
アプローチは慎重になるべきです。

以上のような情報も加味してアプローチすると良いでしょう。

まとめ

以上のように、まずは可能性の高い既存・休眠客の掘り起こしをしてみて下さい。

購買単価の向上、購買頻度の向上、または既存客への紹介依頼など
たくさんの施策が考えられます。
新規の飛び込み営業をする前にたくさんの方法があるので試してみましょう。

その上で、更に新規顧客獲得への動きをすることにより、
安定した売上を確保することができるのです。

■休眠・既存顧客へのアプローチ例
・1:5の法則
新規顧客に販売するコストは既存顧客に販売するコストの5倍かかる

・5:25の法則
顧客離れを5%改善すれば、利益が最低でも25%改善される

■既存顧客へのアプローチ例
1)取引単価のアップ:契約を継続してもらう
2)別部署の紹介依頼:他部署へのサービス導入
3)別商品の販売:別商品も導入してもらい、入り込む

■掘り起こしを効率的に進める方法
・インサイドセールスの設置
・カスタマーサクセスの組織化
・セールステックツールの活用

■掘り起こしの進め方
・データの整理
・継続的に人的なアプローチする仕組みを作る
・リテンションマーケティングの実施(自動化の実装)

■既存・休眠顧客のアプローチ分類のポイント
売上(見込)額によって既存・休眠顧をランク付けをすることが多いですが
更に以下のような観点でも整理しておくと優先順位が更につけやすくなります。
・既存顧客のサービスの利用(購買)頻度はどの程度か?
・契約解除までの利用状況はどの程度か?
・休眠期間はどれくらい続いているか
・何をきっかけに休眠しているのか?