多くの企業が「働き方改革」に取り組み、
業務の効率化を上げ労働生産性の向上を
目指していると思います。
しかし、業務効率を上げるだけで良いのでしょうか?
例えば今までの定型業務を減らしていくとその業務に従事していた人は
「おれの仕事はもう無駄なのか。自分の価値って何だろう?」
と思い悩む方も出てくるかもしれません。
或るいは日々の営業活動がうまくいかずに
「もう無理だ。続けられる自信がない。」
と悩む方もいるでしょう。
近年、AIの台頭により営業に従事する方は
将来を危惧しているかもしれません。
そこで今回は日々の業務に活かせそうな
モチベーションに関する研究や理論を紹介します。
営業マネージャーのみなさんは必見です。
目標設定や意思決定に使える研究
今回は日々の目標設定や意思決定に関する研究を紹介いたします。
(「モチベーション大百科 サンクチュアリ出版」を参考にしています)
目標設定
・社会的手抜き
(ソフトウェアの検証にてテストを数人で行っている)
「かなり順調に進んでいるし自分一人くらい手を抜いてもいいかな」
とプロジェクトメンバー全員が心の奥底で思いながら進めていると
なかなかバグが減らず、思っていた以上に時間がかかってしまうでしょう。
こんな時、どのようにプロジェクトの目標設定をしていけばよいでしょうか?
意思決定
・経験の自己と記憶の自己
「自分はこのままでよいのだろうか?」
仕事もプライベートも順調なAさんは以前から
やってみたかったプロジェクトにアサインされましたが
かなりハードな業務になりそうで迷っています。
こんな時どのような言葉をかけてあげればよいでしょうか?
社会的手抜き
「自分くらいサボっても大丈夫だろう」
と大人数で作業をしていると、人は思うものです。
こういうときはサボれない状況を作りましょう。
少人数のチームを作り、一人一人の責任範囲を
明確にすることが重要です。
全員にミッションを与えるようにしましょう。
実際の実験結果はこちらです。
農業工業学者 マックス・リンゲルマンの実験
1人から2人、3人・・・8人まで人数を変えて、
被験者たちに全力でロープを引っ張ってもらいました。
結果
1人でロープを引いた場合・・・63キロ
3人でロープを引いた場合・・・1人あたり53キロ
8人でロープを引いた場合・・・1人あたり31キロ
の力が加わりました。
つまり、大勢の人間が一緒だと、
他の人に結果をゆだねやすく、
他の誰かがやってくれるだろうと心理が働く。
社会的手抜きを防ぐため、少人数のチームを作り、一人一人の責任範囲を
明確にしましょう。
経験の自己と記憶の自己
「自分はこのままでよいのだろうか?」
非常に安定している状態で今の自分を変えるチャンスが
訪れた場合新しい環境がハードな場合は迷うものです。
人は「幸福感」について自分自身をだましてしまうものです。
毎日、安心感のある場所にいるだけで、短期的には自分は幸福だと思います。
しかし、ずっと困難やストレス、変化を避け続けていると、
「楽だったけど、もっとなにかできたのではないか」
という苦しさに、じわじわと追いかけられることになります。
迷ったときは、あえて大変な方を選び継続的な幸福感を手に入れましょう。
以下が実験結果です。
行動経済学者ダニエル・カーネマンの実験
被験者たちに専用の携帯電話を渡して、
数週間にわたって、不定期にメールを送ったり
電話をかけるなどして、
その瞬間瞬間の「幸福感」をたずねました。
不定期に、何度も調査することにより幸福感を
その時その時の「状態」ではなく、
長く続いている「特徴」としてとらえることができました
結果
以下のどちらが振返ったときに「楽しかった」と継続して幸福感を感じたでしょうか?
・今を楽しむことによって得られ幸福感(つまり「経験の自己」)
・苦しいことを経験しながら、振返ってみて「あれをやってよかった」
という満足感がもたらす幸福感(つまり「記憶の自己」)
実は継続的に幸福を感じられるのは後者の「記憶の自己」だったのです。
後から振返ってみて「あれをやってよかった」という幸福感の方が
今の安定していることから得られる幸福感より大きいのです。
何かチャレンジしようか迷っているときは将来的に継続的な幸福感を
得られる選択をしましょう。
まとめ
以上のように、働き方改革を進めることも大事ですが
様々な新しい試みに対して、モチベーションを維持して
臨むことが重要になってきます。
今回は目標設定と意思決定に関して2つのポイントを紹介しました。
1.社会的手抜き
「自分くらいサボっても大丈夫だろう」という
社会的手抜きを防ぐには全員にミッションを与えてみましょう。
特にAIやRPAの導入が増えていくと人の責任範囲が重要になってきます。
2.経験の自己と記憶の自己
「このままでよいのだろうか?新しいことにチャレンジしようか」と
悩んでいる場合は、
後から振返ってみて「あれをやってよかった」という幸福感の方が
今の安定していることから得られる幸福感より大きい、
ということを教えてあげると、人は一歩踏み出せるかもしれません。
上記2つ以外にも自己管理や発想転換にも応用できる事例が
あるのでまた別な機会にご紹介したいと思います。
是非「目に見える」制度やシステムだけでなく
「目に見えない」モチベーションにも目を向けて改革を進めてください。
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