経営層や営業マネージャーの方はマネジメントの方法
をどのように学んでいるのでしょうか?
・上司のマネジメント方法をマネする
・マネジメント研修で学んだことを実践する
・マネジメントのノウハウ本を読む
などあると思います。
3つ目で挙げた「本から学ぶ」時に古典も参考にすると思います。
有名な経営者である孫正義さんやビルゲイツさん
も実は古典を参考にしているようです。
今回扱う古典とはタイトルであるように「孫子の兵法」です。
ということで、今回も孫子の兵法からビジネスに応用できそうな
ポイントをご紹介いたします。
(コラム「「孫子の兵法」から学ぶ営業マネジメントと営業マインド①」)
孫子の兵法をビジネスで活かす
今回は
リーダーとして成長するには?
競争・交渉をうまく進めるには?
という2点において参考になりそうな
言葉や解釈について説明していきます。
・部下を何度も注意してもパフォーマンスが上がらない
・チームのメンバーとの距離感がわからない
・どうマネジメントしていいかわからない
・メンバーのやる気はあるが結果に結びつかない
・以前に作ったマニュアル通りに営業活動しても売上が伸びない
に心当たりがある方は是非本コラムを参考にして下さい。
リーダーとして成長するには?
新しい組織やなかなか成績の出ないチームでは
以下のようなことはないでしょうか?
「メンバーに部のミッションが伝わっていない」
「危機的状況にも拘わらず全くメンバーに一体感がない」
「営業メンバーがなかなか成長しない」
孫子は以下のように説いています。
『卒未だ摶親(せんしん)ならざるに而も之を罰すれば、則ち服さず』
(意味)
兵士たちがまだ将軍に対して心を一つにして親しんでいないのに、
処罰したりすれば、彼らは将軍の命令に心服しない。
ビジネス上でも、部下との信頼関係が不十分な時に
一方的に叱りつけたら反発心が芽生え、ふて腐れてしまいます。
まずは長所を褒めて信頼関係を築いていってはどうでしょうか。
『将に五危あり。必死は殺され、必生は虜にされ、 忿速は侮られ、廉潔は辱しめられ、愛民は煩(わずらわ)さる。』
(意味)
将軍の人格について5つの危険を挙げています。
決死の勇気だけの人は殺されてしまい、生き延びようという執着が強い人は
殺されてしまい、短気な人は冷静さを失って計略に引っかかり、清廉潔白な人は
侮辱を受けて罠にかかり、部下への愛情が強すぎる人は苦労が耐えない。
これら5つは軍を滅亡させる原因になると言っています。
ビジネス上でも、目先の目標を達成することだけにとらわれて、
勢いだけで物ごとを進めようとする(必死)ことや、
ミスを恐れ慎重になりすぎる(必生)ことや、
感情の起伏が激しい(忿速)こと、
融通がきかない(廉潔)こと、
部下に対して甘すぎる(愛民)こと
ではリーダーとしてうまくいきません。
臨機応変にキャラクターを使い分ける器用さと、
人としての厚みが求められます。
『進みて名を求めず、退きて罪を避けず、惟だ民を是れ保ちて、主に利なるは、国の宝なり。』
(意味)
戦闘を行うときに自らの功名を求めたりせず、ただ守るべき民のことを考える。
そのような行為が君主の利益にもかなうような将軍は、国家の財産であると説いています。
ビジネス上でも、優れたリーダーは組織の利益を考えて真摯に行動する
ことが必要です。
競争・交渉をうまく進めるには?
『勢とは、利に因りて権を制するなり。』
(意味)
様々な駆け引きを持って得られる『勢い』は、
有利な情況を見抜いた上で臨機応変に対応することで生まれるものである。
ビジネス上でも、「これだけは譲れない」という一線を決め、
そこに引き寄せるために臨機応変に対応していくことが重要です。
例えば、営業でも100万円で商品を売る為に、最初は150万円あたりから
始めて徐々に値下げしていくという方法をとる方もいるでしょう。
『兵の形は実を避けて虚を撃つ』
(意味)
戦の法則は、敵の強い部分を避けて、隙のあるところ=弱いところ
を攻撃することである。
ビジネス上でも社内メンバーの弱い部分を知り、他メンバーを
フォローすることで社内での良いポジションを獲得できるでしょう。
『勝兵は先ず勝ちて而る後に戦い、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む』
(意味)
勝利する軍は先に勝つという見通しがたってから戦い、
一方、敗北する軍は戦いを始めてからどうやったら勝てるかを
考えているということです。
ビジネス上でも、見切り発射で商談や提案をするのではなく、
相手の事業内容や条件を考えて、自社のどのソリューション
が役に立つのかをある程度整理してからアプローチしましょう。
「とりあえず」や「上司に言われたから」では、なかなかうまくいかないでしょう。
『兵を形(あらわ)すの極みは無形に至る。』
(意味)
軍の態勢の極致は無形になることである。無形であれば、敵に合わせて変幻自在に
対応し、それを敵に悟らせなければ、敵は攻めようがなくなる。
ビジネス上でも、マニュアルやルール優先での対応では
うまくいきません、ある程度は柔軟さを持って取り組むことが必要です。
もちろん過去の成功体験やマニュアルはそれまでの蓄積なので重要ですが、
それに固執してはいけません。定期的に新しい試みもしていきましょう。
まとめ
以上のように、メンバーの育成に困った場合、
プロジェクトの進め方や組織の在り方に迷った場合は
古典に頼ってみるのも一つの手です。
孫子の兵法の内容は、当たり前だと思うことが書いてある
かもしませんが書いてあるフレーズを読み上げてみると
意外に説得力が出るものです。
例えば、見切り発車の提案をしそうな営業メンバーに、
「『勝兵は先ず勝ちて而る後に戦い、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む』
という言葉も昔からあるからもう少し考えてみて。」と言うとなんとなくですが
説得力が増すのでないでしょうか?
このコラムがマネジメントの参考になれば幸いです。
関連情報
参考コラム:営業はやりたくない?|そんなモチベーションの時に考えること
「孫子の兵法」から学ぶ営業マネジメントと営業マインド①
スリーシーズ関連サービス:営業戦略立案
関連資料DL:組織としての営業力強化レポート