新型コロナウイルスによってビジネス環境は変わりました。
倒産する企業や人員を削減する企業が増えました。
東京商工リサーチの調査によると
「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1000万円以上)が全国で累計1000件以上、
更に上場企業の「早期、希望退職」募集人数が2021年6月3日、1万人を超えたとのことです。
(「早期、希望退職」募集、業種が二極化 より)
今後ビジネス環境はどのように変化していてくのか先行きが不安です。
しかし、今後は経済が回復に向かうという話も聞くようになりました。
ビジネス環境や営業活動の今後の変化について統計データを使いながら考察していきたいと思います。
2021年はポジティブな経済予測
Chief Executive Magazineという海外の雑誌の
「Succeeding in 2021 and Beyond」というレポートでは
米国のCEOのうち、73%が「収益が増加する」、65%が「利益が増加する」と回答しています。
2020年4月時点と比較して、成長を見込んでいる企業の割合がそれぞれ1.89倍と2.03倍に増加しているようです。
また株式会社三菱総合研究所の「ウィズコロナ下での世界・日本経済の展望|2021年5月」によると
実質GDP成長率は、21年度は同+3%程度、22年度は同+1%台後半と予測しています。
このように世界経済は回復に向かっています。
営業活動の今後の変化
2020年は世界中でB2B営業のオンライン商談が増えました。
この傾向が、ワクチン接種が広く生き渡った後にどう変化するかについて、
米国の経営幹部は以下のように考えているようです。
(「Succeeding in 2021 and Beyond」より)
・対面が減り、非対面が増える:59%
・変わらない:19%
・対面が増え、非対面が減る:22%
なんと6割近くの企業で、今よりもさらに対面でのやり取りが減り、非対面でのやり取りが増えると回答しているのです。
このことから、営業活動のデジタル化は一過性のブームなどではなく、
今後も続くビジネストレンドだと考えている企業が多いことがわかります。
また2021年の営業戦略については
新規開拓を積極的に行う:62%
顧客へのオンラインアプローチへの投資を増やす:49%
営業施策を拡張する:42%
コスト管理:39%
展示会への参加を減らす:42%
既存市場を優先する:34%
特に変化はない:11%
その他:3%
ということで2020年に凹んだ売り上げを取り戻すために
営業活動を強化する企業が多いことが読み取れます。
日本の営業活動
それでは日本の営業活動はどのように変わっていくでしょうか?
HubSpot社の調査(2020年12月)によると(以下引用)
法人営業組織におけるテレワーク導入率は、54.4%と半数を超えた。
さらにテレワークを導入している営業組織のうち77.0%は、直近1年以内に導入していることから、
新型コロナウイルス感染拡大により営業組織においてテレワークが急速に普及したことがわかる。
一方で「電話,E メール,DM,ビデオ会議」などを用いた
リモート営業については導入率36.4%とテレワーク導入率より低くなり、
「出社日にまとめて商談を行う」など働く場所に応じた業務内容の選択がなされていることが推測できる。
ただし、リモート営業についても「直近1年以内に導入した」と応えた人が45.0%と半数近くにのぼった。
このように営業活動のオンライン化は日本でもかなり進んでいます。
購買者側もオンラインで営業を受けることに慣れており、
買い手と売り手それぞれに「訪問型営業とリモート営業のどちらが好ましいか」
2019年12月時点と2020年12月時点の気持ちを尋ねたところ、
買い手側は2020年12月時点で「リモート営業が好ましい」と考える人(38.5%)が
「訪問型営業が好ましい」と考える人( 35.0%)を上回った。
とのことでした。
今後もますますオンライン営業が普及していくことが予測されています。
しかし、オンラインでの就業に対して生産性が低下したと感じている方も多いようです。
「国際調査 テクノロジーと働き方の進化」(2020年7月 レノボジャパン)によると
オフィス勤務に比べて在宅勤務で生産性が高まったとの回答が、全体平均で63%と高めでした。
しかし、在宅勤務で生産性が低くなったとの回答では、世界平均が13%のところ日本は40%と10か国中、最下位だったのです。
生産性が下がる理由について考えていきましょう。
リモートワークが進む中での課題は「コミュニケーション」
インターパーク社の、インターネット上で全国の営業職500名を対象にした
「テレワーク実施状況と今後のテレワーク実施意向に関する実態調査」によると、
「今後もテレワークを実施したい(出社と組み合わせて実施したい、を含む)」という回答は65.8%であった。
また、「今後テレワークは行わず出社したい」という回答のうち、71.4%は40代以上が占めた。
理由を見てみると、
・社内、社外ともに対面での会話がないと、なかなか仕事が進まない。
・テレワークだと怠惰になり、しっかりと仕事に取り組むことができない。
・自宅、会社ともに環境整備がまだ追いついておらず、テレワーク実施が難しい。
コミュニケーションや管理、そしてそれらを可能にするようなIT環境の整備が
追いついていないこと読み取ります。
HubSpotの調査でも
「オンラインでのやり取りが増え、チームメンバーや他部署との連携が高まったか」という問いに対しては
56.8%が否定的など、テレワークの不満点として上がった「社内コミュニケーションに手間や時間がかかる(45.0%)」
「業務管理ができない/しにくい(38.9%)」、「孤独感を感じる(17.6%)」)と関連する課題意識も見られました。
自由解答欄では「気軽にわからないことを確認や相談ができない」「コミュニケーションが不足がちになる」
「そもそもインフラが整備されていない」という声も得られました。
このような問題を解決するためには何が必要でしょうか?
リモートワークでも生産性を向上させる方法
1.ITツールを導入する
オンライン商談ツール、チャットツール、スケジュール管理ツール、
SFA/CRM、勤怠管理ツールなどを導入して
コミュニケーションや管理が円滑になる環境を整備します。
2.リモートワークのルールを決める
顔を合わせて話す機会は減るので、
・オンラインでの朝会や夕会を増やす
・チャットでのコミュニケーションを意識的に増やす
・勤務開始時はチャットで報告する
など自社にあったテレワークのルールを作ると良いでしょう。
3.評価制度を見直す
日本はメンバーシップ型と呼ばれる雇用制度が一般的です。
これは企業が職務内容を限定せずに人を採用し、長期に渡って雇用を保障し、
ジョブローテーションもさせながら育て、年功や職位で賃金をアップさせていく、という仕組みです。
普段の働いている様子も評価するこの制度はリモートワークには不向きあり、
極端にいうと「サボっててもある程度給与が確保される」ようになります。
ということで職務内容や評価基準を明確にした「ジョブ型」の雇用を導入するなど
アウトプットをより評価する制度の方が生産性はアップするかもしれません。
まとめ
今後、新規開拓営業や新しい営業施策を実行していく企業は増えることが予想され、
リモートワークでの営業対応が以前よりも増えていくことが明からになりました。
一方、日本ではリモートーワークが生産性向上に結びついていないケースも多いこともわかりました。
今後コミュニケーションや管理に課題に対する対策を進めれなければなりません。
■コロナ後の経済
2021年は改善見込み
73%が「収益が増加する」、65%が「利益が増加する」と回答
■営業活動の変化
オンライン商談は引き続き浸透
・対面が減り、非対面が増える:59%
・変わらない:19%
・対面が増え、非対面が減る:22%
■日本の営業活動
リモートワークは増えている
・法人営業組織におけるテレワーク導入率は、54.4%と半数を超えた
■リモートワークの課題
コミュニケーションや管理が難しい
・社内、社外ともに対面での会話がないと、なかなか仕事が進まない。
・テレワークだと怠惰になり、しっかりと仕事に取り組むことができない。
・自宅・会社ともに環境整備がまだ追いついておらず、テレワーク実施が難しい。
■リモートワークで生産性を向上させる方法
1.ITツールを導入する
2.リモートワークのルールを決める
3.評価制度を見直す
経済回復期での新規開拓に備えて準備を進めておきましょう!
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