各企業でオンラインでの業務が急速に進み、
様々な影響が出ているでしょう。
「営業業務が効率化された」
「コミュニケーションが難しい」
「みんなの仕事内容が見えない」
「直接見ていないので評価が難しい」
などあるでしょう。
特に社内外でのコミュニケーションに課題を感じている企業が多く、
「業務内容の確認のために逆に会議が増えて業務時間が延びた」
と感じている方も多いでしょう。
理由は様々ですが原因の一つに、
業務内容が属人化していて人によって行うべき業務が異なる、
ことがあるのではないでしょう。
このような問題を解決するために最近「ジョブ型」という
考え方が脚光を浴びています。
今回は「ジョブ型」の概要や具体例について紹介していきます。
従来の「メンバーシップ型」と「ジョブ型」の違い
「ジョブ型」の雇用とは職務記述書(ジョブディスクリプション)に記載されている
詳細な業務内容に合わせて雇用することです。勤務時間ではなく成果で評価するのが一般的です。
言い換えると仕事に人を合わせていく「仕事基準」の採用と言えます。
成果で評価することになるので、リモートワーク下でも評価しやすいでしょう。
従来の日本の雇用は「メンバーシップ型」と呼ばれる雇用方法で
ジョブローテーションを繰り返し、会社に最適化された人材を育成する方法が一般的でした。
たとえば新卒一括採用型のイメージです。
総合職として採用し、転勤や異動、ジョブローテーションを繰りかえすことで、
会社を支える人材を長期的に育成していきます。
しかし、年功序列・終身雇用の崩壊に伴い、徐々に成果主義をベースにした
欧米型の雇用手法が日本に浸透していくにつれて、
日本企業においてもいわゆる「ジョブ型」の雇用を導入する企業が増加しています。
日本経済団体連合会(経団連)の中西宏明会長も
「1つの会社でキャリアを積んでいく日本型の雇用を見直すべき」と提言していました。
次に「ジョブ型」のメリットやデメリットをまとめていきます。
企業側のメリット・デメリットと導入のポイント
■メリット
・専門人材を採用できる
勤務地、勤務時間、業務範囲を限定的にすることで、専門人材の採用も可能になってきます。
■デメリット
・会社都合の転勤や異動が難しい
勤務地や仕事の幅に制限があるため、急な欠員への対応やキャリアアップのための転勤や異動が困難になります。
・新卒社員の活躍の場が少ない
ジョブ型雇用に求められるのは、職務を遂行できる専門スキルです。
専門スキルを身につけていないことが多い新卒社員の活躍の場は限られてくるでしょう。
・転職される可能性がある
専門性を高めることで、より良い待遇の企業へ転職してしまうこともあるでしょう。
また、専門スキルを活かした仕事が自分に向いていないと気づく場合もあり、
同様に転職リスクとなるでしょう。
■導入のポイント
ジョブ型の採用を成功させるためには、
詳細な職務記述書(ジョブディスクリプション)の整備や
採用サイトでのアピールが必要になります。
ジョブディスクリプションには具体的な職務内として
・職務の目的
・目標(KGI/KPI)
・業務の範囲
・社内外の関係先
・必要な知識/スキル
・経験
・資格
が記載されるのが一般的です。
求職者のメリット・デメリット
それでは求職者(採用される側)のメリット・デメリットは
どんなものがあるでしょうか?
■メリット
・自分の専門の分野で仕事に就ける
AIやブロックチェーンなど、専門特化した分野だけを仕事にできます。
・ジョブローテーションがないので専門スキルを磨ける
契約時に自らの職務を提示することができ、職務記述書や契約内容以外の
職務は行なう義務は発生しません。安心して専門スキルを活かし、磨いていけます。
・スキルを磨けば給与をあげられる
年齢や学歴などに関係なく、専門スキルに応じた採用基準になります。
たとえば20歳でもスキルを高めることで、厚待遇の会社へ転職することも可能です。
■デメリット
・積極的な自己研鑽が求められる
AIやブロックチェーン、IoTなどの専門スキルは、日々進化しています。
そのため、受け身の姿勢ではなく、コミュニティへの参加など自己研鑽を行なう必要があります。
・仕事が無くなったときのリスクがある
景気や会社の都合などで、専門スキルを活かした仕事自体が無くなることがあります。
ジョブローテーションや職種転換などの選択肢がないので、退職リスクにつながります。
技術革新によるトレンドの変化が激しいので、自分の専門分野の隆盛にも目を配り
場合によっては幅を広げていかなければ生き残っていくことができないこともあるでしょう。
まとめ
テレワークの普及によりジョブ型の働き方に注目が集まっています。
今回紹介したようにジョブ型にはメリットもデメリットもあります。
■企業側のメリットとデメリット
メリット
・専門人材を採用できる
デメリット
・会社都合の転勤や異動ができない
・新卒社員の活躍の場が少ない
・転職される可能性がある
■求職者側のメリットとデメリット
メリット
・自分の専門の分野で仕事に就ける
・ジョブローテーションがないので、専門スキルを磨ける
・スキルを磨けば給与をあげられる
デメリット
・積極的な自己研鑽が求められる
・仕事が無くなったときのリスクがある
まだまだ日本の企業では「ジョブ型」の雇用は少ないです。
ただ、今後の労働環境の変化に対応するために導入していく必要があります。
自社にはどのような人材が必要なのかよく考えてみましょう。