みなさまはどのような普段どのような商材を扱っているのでしょうか。
サブスクリプション型のビジネスモデルが盛んになっていることは
何度かコラムでもお伝えしてきましたが、その場合、どのようなフレームワークで
営業活動を捉えるのがベストでしょうか?
今回はSaaS業界の雄であるセールスフォース社などが用いている
フレームワーク「The Model」(ザ・モデル)の概念と実践をお伝えしていきます。
営業における分業化
営業マネジメントする際は様々な目的のために、それに合った施策を行うでしょう。
(例)
リード獲得
具体的な施策:質の高いテレアポリストの購入、テレアポの外注
商談活動の効率化
具体的な施策:SFAの活用、web会議システムの活用、ターゲットの分類(営業エリア制の導入など)
受注率向上施策:
具体的な施策:営業資料の改善、商談ロールプレイング
など、様々なことを試行錯誤されているでしょう。
最近では、MAを使ったナーチャリングなど、
インサイドセールスにより、いかに効率的に潜在顧客から見込み顧客への育成をするかも
注目されています。
では、どのように業務を分けて役割分担をすれば効率よく活動ができるでしょうか?
このような際に模範になるのが「The Model」です。
「The Model」(ザ・モデル)とは?
SFAやCRM、MAなどを中心とした数々のビジネスツールを提供するセールスフォース・ドットコムは、
1999年の設立以来、常に成長を続けています。それを支える大きな要素のひとつが、このThe Modelです。
セールスフォース・ドットコムでは、The Modelを「お客様の成功と共に、売上を拡大する仕組み」と位置づけ、マーケティングから商談、成約後のカスタマーサクセスまで、
各部門間が連携して、一貫した顧客対応をとる体制が整えられています。
(「営業効率を最大化する Salesforce Hub「The Model」(ザ・モデル)の概念と実践」より)
The Modelでは、営業プロセスを4つの組織に分業化します。
The Modelの全体像
The Modelでは、営業プロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」
「フィールドセールス」「カスタマーサクセス(定着化支援)」の4つの段階に区分します。
そして、それぞれの段階の中でKPIを数値化します。
ここでポイントとなるのは、あるプロセスのゴールが次のプロセスの要素になるということです。
ですから、各部門が十分な数字を確保するためには、すべての部門で確実にゴールをクリアし、
次の段階にパスしていくことが必要です。
以下のようなフローとKPIを用います。
①潜在顧客の獲得
KPI:来訪者数×獲得率=見込み客数
②見込客の育成
KPI:見込客数×案件化率=案件数
③案件管理
KPI:案件数×受注率=受注数
④契約継続/追加
KPI:受注数×更新率=継続数
①から④の過程をすべて営業が行っていることもあるでしょう。
しかし、その場合、受注後のフォローが疎かになってしまうことや
潜在顧客の獲得施策がアップデートされずに陳腐化してしまうこともあるでしょう。
その為、上記のようなモデルで分業化することが営業の効率化につながるでしょう。
推奨するThe Modelの組織体制とは?
ではそれぞれどのような部署が担当すればよいでしょうか?
一般的には以下があてはまるでしょう。
①潜在顧客の獲得:マーケティング
施策:ホワイトペーパーや事例集の整備、web広告の実施、展示会出展
②見込客の育成:インサイドセールス
施策:リードナーチャリング、定期的な情報提供により見込客を暖める
③案件管理:フィールドセールス(一部インサイドセールス)
施策:提案活動による受注(場合によってはインサイドセールスがクロージングまで行うこともあり)
④契約継続/追加:カスタマーサクセス
施策:受注した顧客にとっての成功を定義して、アップセルやクロスセルを行う
また①から④の施策の計数を把握して、場合によってはトレーニングプログラムの実施や
ツールの整備を進めていくのがセールスイネーブルメントの役割です。
具体的には営業ロープレや座学など、営業メンバーへの研修を行い、
現場で即戦力になる手助けをします。
配属後も成功事例の共有会やオブジェクションハンドリング(反対問答への対応)の研修を
行い、営業現場とのマネージャーとも共有してフォローを続けます。
セールスイネーブルメントはカスタマーサクセとの同様に重要なポジションに
なってきています。
詳しくは、
「顧客を成功に導くカスタマーサクセス|営業組織と一緒でいいの?」
をご覧ください。
The Model(ザ・モデル)のメリット
The Modelを導入し運用すると、売上増大へ向かう過程でさまざまなメリットが生まれます。
・営業プロセスのボトルネックが見える
すべての数値を明確にすることで、どこに問題があるのかが見えてきます。
どのプロセスの数字が目標に達していないのかがひと目でわかるため、効果的な改善策を練ることができるというわけです。
・分業化で専門性を高められる
The Modelで区切った4つのプロセスはいずれも専門性が高く、兼務するのは効率的とはいえません。
たとえば、インサイドセールスとフィールドセールスでは、同じ営業でも実作業がまったく異なりますし、
必要なスキルにも違いがあります。ですから理想をいえば、分業化して専門性をさらに高めたほうがいいでしょう。
ただし、組織構造や人的リソースの問題もあります。形だけ整えるのではなく、自社にフィットした体制を構築するのがベストです。
・掘り起こしの仕組ができる
マーケティングを入り口として流入してきたリードは、各段階で数を減らしながら成約に至り、
カスタマーサクセスへと移行していきます。
商談に至らなかった案件や失注した案件は、かなりの数になるはずです。
これら、営業プロセスからこぼれ落ちた案件は「長期フォロー顧客」としておき、
タイミング良くインサイドセールスがアプローチすることで、再び新規案件にリサイクルすることが可能です。
まとめ
今回はSaaSの営業組織で普及してきている「The Model」(ザ・モデル)について紹介してきました。
■「The Model」(ザ・モデル)とは?
営業プロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」
「フィールドセールス」「カスタマーサクセス(定着化支援)」の4つの段階に区分します。
■The Modelにおける各組織のKPI
①潜在顧客の獲得
KPI:来訪者数×獲得率=見込み客数
役割:マーケティング
②見込客の育成
KPI:見込客数×案件化率=案件数
役割:インサイドセールス
③案件管理
KPI:案件数×受注率=受注数
役割:フィールドセールス
④契約継続/追加
KPI:受注数×更新率=継続数
役割:カスタマーサクセス(CS)
■The Modelのメリット
・営業プロセスのボトルネックが見える
・分業化で専門性を高められる
・掘り起こしの仕組ができる
いかがでしたでしょうか?
体制作りに迷っている営業マネージャーの方のお役に立てるのではないでしょうか。
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