顧客を成功に導くカスタマーサクセス戦略とは?

 

サブスクリプション型のビジネスモデルの浸透により、
「受注後にいかに継続的にサービスを利用して頂く」か
が重要になっています。

そこで重要になってくるのがカスタマーサクセスという
ポジションです。

サブスクリプションモデルをしている企業で、
カスタマーサクセスを導入している企業は
導入していない企業に比べサービスの離脱率(churn)
は24%低いという統計もあります。
https://www.gainsight.com/customer-success-best-practices/infographic-diagnosing-churn/

以前カスタマーサクセスの重要性についてお伝えしましたが
今回は社内で組織化する時のポイントをお伝えします。

 

カスタマーサポートとカスタマーサクセスの違いの整理

サブスクリプションモデルの収益のほとんどが
関係が始まった後から生まれています。

その為、営業が受注してきた後のカスタマーサクセスの
役割が大きくなってきています。

改めてカスタマーサポートとカスタマーサクセスの違いを
紹介します。


■カスタマーサポート
求めるもの:顧客満足度
態度:リアクティブ
利用データ:顧客の声(問合せ、アンケート)
責任範囲:顧客の悪い体験の改善
サービス:プロダクト販売後のアフターケア
業務:サポート
位置づけ:コストセンター


 


■カスタマーサクセス
求めるもの:顧客の成功
態度:リアクティブとプロアクティブの両方
利用データ:顧客の声と利用状況のデータ、調査
責任範囲:顧客の悪い体験の改善と良い体験の提供
サービス:プロダクトの性能を引き出すサービス
業務:サポート、顧客の学習の促進、拡大、アップセル
位置づけ:プロフィットセンター


となります。
それでは営業部隊やサービス主管チームがある中で
カスタマーサクセスのチームはどこに配置すれば
よいのでしょうか?

カスタマーサクセスの体制作りは?

カスタマーサクセスは様々な組織と関わることになります。
特にセールスチーム、マーケティング部隊と連携し、
かつ顧客の声をプロダクトマネジメントチームに届ける必要があります。

カスタマーサクセスの部隊を組織上のどこに配置するかによって
戦略的に何を優先するかが決まります。

(例)
1.Product Orientd
プロダクト改善を優先的にする場合は
商品企画部の中に配置します。

2.Sales-Oriented
収益への貢献を優先する場合は
営業組織の中に配置します。

3.CSM-Oriented
顧客満足度を最優先にする場合は。
カスタマーサクセス部隊を独立した設置します。

カスタマーサクセス戦略を定める際の4つのポイント

1.顧客を絞る(顧客の成功を定義する)
適切な顧客でない場合、顧客のSuccessを達成が困難になる
顧客のサクセスを定義することが大切です

2.注力すべきポイントを定める(一部のサービスレベルを下げる)
業界内で特殊な位置を持つ企業はすべの顧客の要件に
応えようとはせず、成長しそうな顧客層にフォーカスします。

 


例)QB House
従来の床屋
・顧客層:全員
・散髪の所要時間:1時間前後
・場所:様々な場所に点在
・商品数:カット、パーマなど
・オプション:シャンプー、髭剃り

QB House
・顧客層:素早く髪を切りたい人
・散髪の所要時間:10分
・場所:駅近やオフィス街など便利な場所
・商品数:1,000円のみ
・オプション:なし(吸引のみ)


3.カスタマーサクセスエンジニアリング
顧客のフィードバックをプロダクトの改善に活かします。
プロダクトの改善とCSの効率化のためにテクノロジを用います。
必要な物を、必要な時に、必要な量だけ顧客に提供する
(Just in Time)カスタマーサクセスが理想です。

しかし、そのためにはユーザの利用データが必要です。
ユーザの利用データに応じて、FAQ対応するチャットボットなどの例もあります。

4.顧客の定義|ヘルスコアの導入とプロアクティブなサポート
カスタマーサクセスではリアクティブとプロアクティブの両方が必要とされるため
事前に顧客の解約リスクを察知しなければなりません。

そこで必要になるのはヘルスコアです。
顧客全体のサービス利用率やカスタマーサクセスとの接触頻度に
応じてヘルスコアを設定します。

ある基準以下に陥った会社に対して優先的にアプローチをして解約を未然に防ぎます。
カスタマーサクセスも営業と同様に日々様々なデータを収集する必要があるのです。

カスタマーサクセスの主なKPI

それでは日々どのようなKPIを追っていくのが適切でしょうか。

■LTV(Life Time Value)
顧客生涯価値を意味します。企業と顧客が継続的に取引することで
顧客が企業にもたらす価値(利益)の総計のことです。

LTV = 平均購買単価 x 購買頻度 x 継続購買期間
で算出することが可能です。

カスタマーサクセスは契約後の顧客との継続的な取引になるので
LTVは重要な指標になります。

■オンボーディング完了率
自社提供したサービスに対して顧客のどれくらいの割合で
定着しているのかを示す指標です。

オンボーディングとはサービスを使い始めて活用できるように
なるまでの一連のプロセスのことです。

例えば、
・〇か月以内に〇〇の設定まで完了し、○○機能が使いこなせていれば「オンボーディング完了」
・ユーザのうち平均〇%以上が毎日ログインしていればOK

など提供しているサービスや顧客の様子を見て設定していきます。
オンボーディングまでの期間は短い方がよいので
定期的な説明会の実施やチュートリアルの準備が必要です。

■チャーンレート (Churn Rate)
顧客離脱率、解約率を意味しています。
普段「チャーン」と略されて使われることがあります。

一般的に新規顧客獲得のコストは顧客の維持のコストの5倍高いという調査結果もあり、
顧客維持を無視して新規顧客獲得を続けるといずれコスト高になり、
事業の成長が止まってしまう可能性も高いです。

逆に顧客数が少なくてもChurn Rate が低ければ、事業は今後更に伸びる可能性があります。

■ネガティブチャーン(Negative Churn)
顧客の逆離脱率
つまりアップセルやクロスセルにより
アカウント当たりの収益が増える可能性があります。

例えばサブスクリプションビジネスであるSaaSは売り切りのビジネスと異なり、
「顧客にずっとサービスを提供し続けることで、
既存顧客からのアップセルやクロスセルを狙いやすい」
という特徴があります。

■NPS(ネット・プロモーター・スコア)
顧客ロイヤルティ、顧客の継続利用意向を知るための指標。
「顧客推奨度」や「正味推奨者比率」と訳される場合もある。

具体的には、
「0~10点で表すとして、この企業(あるいは、この製品、サービス、ブランド)を親しい友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」
というものになります。

このスコアや回答者を参考にすることでロイヤルティの高い顧客把握や
アップセルのターゲット選定だけでなく、解約予備軍へのアプローチも可能になります。

まとめ

SaaSのようなサブスクリプションモデルへ移行する中、
カスタマーサクセス(CS)のチームの重要性が増しています。

・CSを導入している企業は導入していない企業と比べて顧客の離脱率が下がる(継続してくれる)

組織を作る際にどのように編成するか検討する必要があります。
今回3つの例を挙げました。
1.Product Orientd:商品企画部の中に配置

2.Sales-Oriented:営業組織の中に配置

3.CSM-Oriented:カスタマーサクセス部隊を独立

戦略を立てる際のポイントは以下です。
1.顧客を絞る(顧客の成功を定義する)
2.注力すべきポイントを定める(一部のサービスレベルを下げる)
3.カスタマーサクセスエンジニアリング
4.顧客の定義|ヘルスコアの導入とプロアクティブなサポート

■カスタマーサクセスのKPI
・チャーンレート (Churn Rate)
・LTV(ライフ・タイム・バリュー )
・オンボーディング完了率
・ネガティブチャーン(Negative Churn)
・NPS(ネット・プロモーター・スコア)

サブスクリプションモデルへ移行しようとしている場合や
CSを導入しようと思っている方にとって
このコラムが参考になればと思います。

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