今注目されるパーパス経営とは?

今注目されるパーパス経営とは?

経済環境の変化やテクノロジーの進化によって
自社のあるべき姿について改めて考える企業も
あるのでないでしょうか?

いわゆる企業の存在意義を意味するパーパスを基軸とした
経営が注目を浴びています。
今回はそんな「パーパス経営」について解説していきます

パーパス経営が注目される背景とは

諸説ありますが「Executive Foresight Online:「パーパス経営」とは。」
によると3つの外部市場の変化が要因であるそうです。

1.顧客市場
BtoC市場では、倫理的な(エシカル)消費が注目されています。
従来、流行に沿った製品を購買するのが一般的でした。
しかし近年は環境や社会にとってよいビジネスを行っている企業の商品の購入する
消費者が増えているのです。

BtoB市場でも、地球や社会に負をもたらす企業に対しては厳しい処置をする風潮です。

2.人財市場
ミレニアル世代(現在30代)やZ世代(現在20代)の人たちは、
就職や転職活動においても、企業が環境や社会によいビジネスをしているのか、
あるいは自分の価値観と合う「働きがい」を重視する傾向があります。

「ミレニアル世代」とは、1980年代から2000年代初頭の間に生まれた世代を
指します。2020年で20代~40代前半の世代です。

参考記事:ミレニアル世代とは?見込み客の半数以上!?

3.金融市場
投資先の選定にもESG投資と呼ばれる、
環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)
の観点を重視した投資が世界的に広がっています。

上記のような理由から自社の存在意義についてあらためて考える
企業が増えているのです。

パーパス経営とは

そもそもパーパスとは
「パーパス(Purpose)」は、一般に「目的、意図」と訳される言葉です。
「パーパス経営」の文脈だと企業や組織、個人が何のために存在するのか、
すなわち「存在意義」のことを意味します。

ビジネス特化型SNSを運営する米国のLinkedInが、2016年7月に3,000人のビジネスパーソンを
対象に実施した調査では、
「人々の生活や社会に対してポジティブなパーパスを掲げる企業で働くならば、給与が下がってもいい」
と答えた人は全体の49%と、ほぼ半数を占めるという驚くべき結果が出ました。
そのうち「給与が1~5%下がってもいい」は20%、
「5~20%下がってもいい」は19%、
残りの10%は何と、「20~100%下がってもいい」と答えたのです。
(参照:Purpose: A practical guide p.23|Linkedin)

このようにビジネスパーソンの実態としても「パーパス経営」を重視する傾向があります。

パーパスとミッション・ビジョン・バリューの違い

では従来のミッション、ビジョン、バリューとの違いは
どこにあるのでしょうか?

1.ミッション(Mission)
「使命」や「任務」と訳されることが多く、企業が果たすべき使命として定義されています。
パーパスと意味が共通している部分もあるため、ミッションの中にパーパスを含有している企業も少なくはないが、
その違いとしてあげられることは、社会とのつながりを強く意識しているかどうかという点でしょう。

ミッションは、企業が目指す姿に向けて何を行うべきであるのかの「What」を示すのに対して、
パーパスは、なぜ企業が社会に存在しているのかという「Why」に関する言葉であるとされており、
将来目指したい姿ではなく、現在あるべき姿を指す傾向にある。

2.ビジョン(Vision)
「展望」や「理想像」と訳されることが多く、一般的にはミッションの遂行によって企業が実現したい未来のことを示し、
ビジョンを策定することで、企業やチーム、個人が成し遂げたい目標・ゴールである「Where」を具体的にしています。

3.バリュー(Value)
「価値」あるいは「価値観」と訳され、一般的には、ミッションやビジョンを実現するために必要な、
企業や従業員の姿勢や価値観のことを指す場合が多いです。
従業員が共有すべき価値観や身につけるべき信条は後述するクレドと定義し、
バリューは純粋に顧客やマーケットに対する提供価値に限定して定義されることが多い。

4.クレド(credo)
クレドは「信条」であり、企業によって呼び方に違いはあるが、
ミッション、ビジョンを実現し、顧客に対してバリューを提供し続けるために従業員が大切にする価値観、
体現する日々の行動指針のことを指す。
「日本の人事部:パーパス(Purpose)を参考」

パーパス経営のメリット

パーパス経営の実践により以下のようなメリットを得られる可能性があります。

1.株主、顧客などステークホルダーから支持される
パーパスを明確にし、実際に取り組むことで、そのパーパスに共感する
ステークホルダーからの支持を集めることができるでしょう。

2. 従業員のロイヤリティやワークエンゲージメント向上に寄与する
パーパスを見直すことで、従業員のロイヤリティやエンゲージメントの向上につながります。
働く意義を明確にし、パーパスの内容が企業と従業員の共通項になることで
従業員は自身の業務に誇りを持つことができるようになります。

3.ESG推進に貢献する
企業の成長性を判断する要素の1つとしてESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字)が注目されており、
昨今のメディアでも「ESG投資」という言葉が頻繁に取り上げられるようになっています。
ESGを推進する企業に対して、積極的に投資をする投資家も増加しています。

まとめ

【まとめ】
今回は近年着目されている「パーパス経営」について紹介してきました。

■パーパス経営とは
企業の存在意義を意味するパーパスを基軸とした経営

■パーパス経営が注目される背景とは
1.顧客市場
BtoC市場では、倫理的な(エシカル)消費が注目されている

2.人財市場
ミレニアル世代(現在30代)以降は、自分の価値観と合う「働きがい」を重視する傾向がある

3.金融市場
投資先の選定にもESG投資が世界的に広がっている

■パーパス・ミッション・ビジョン・バリューの違い
0.パーパス
パーパス経営の文脈だと企業や組織、個人が何のために存在するのか、「存在意義」のこと。

1.ミッション(Mission)
「使命」や「任務」と訳される。企業が果たすべき使命。
企業が目指す姿に向けて何を行うべきであるのかの「What」を示す。
パーパスは、なぜ企業が社会に存在しているのかという「Why」に関する言葉。

2.ビジョン(Vision)
「展望」や「理想像」と訳される。
企業やチーム、個人が成し遂げたい目標・ゴールである「Where」を具体的にしてる。

3.バリュー(Value)
「価値」あるいは「価値観」と訳される。
ミッションやビジョンを実現するために必要な、企業や従業員の姿勢や価値観のことを指す。

■パーパス経営のメリット
1.株主、顧客などステークホルダーから支持される
2. 従業員のロイヤリティやワークエンゲージメント向上に寄与する
3.ESG推進に貢献する

あらためて自社のミッションやビジョンを見直すきっかけとなれば幸いです。