パイプライン管理とは?営業の売上予測(ヨミ)の精度向上のマネジメント手法

売上予測がうまくいかない理由|パイプラインマネジメントの導入

営業組織ではセールステックと呼ばれるITツールの導入が進んでいます。一方で、このような営業ツールには懐疑的でエクセルや紙の営業報告書を用いて営業管理を継続している企業もまだまだあるでしょう。
例えば、売上見込みに対してエクセルの「ヨミ表」を用いるなど。うまくいっていればよいのですが、売上見込と実績が大幅に違っていたりすると困りますよね。
こんな時に役に立つのが営業パイプライン管理です。今回は売上予測の精度を上げるための方法として営業マネジメントにおけるパイプライン管理を紹介していきます。

パイプライン管理とは

受注までの営業の流れ(リード~受注まで)をパイプラインと呼びます。
営業が持っている案件がどの営業フェーズに何件あるか可視化することでボトルネックの把握(停滞案件)や売上予測(受注に近い案件が見える化される)に用いることができます。

営業プロセスが定量的にも見える化されることで、停滞しているポイントが見えます。改善がスムーズになり営業の効率化につながる手法として導入が進んでいます。

パイプライン管理が必要な背景

営業リーダーやグループマネージャーなど営業のマネジメントに関わる方々は役員層への報告として当月の売上見込みをまとめます。
もちろん、目標売上に対して見込金額や実績が超えていれば良いです。

また、売上予測の精度が高く、売上金額が目標に対して足りなくなりそうなことが事前にわかれば打ち手を早く実行できます。

しかし、売上見込と実績に大幅なギャップ(全然足りない)があったり、見込み金額が経営陣とのミーティングの度に変化すると経営陣も驚きますよね。(衝突の原因となったりもします。。)
また、営業活動のどこにボトルネックがあるのか分からなければ改善策も打てません。営業活動の可視化と分析をすることで、ボトルネックを発見でき、売上予測の精度の改善にもつながっていきます。

そこで使えるのがパイプライン管理というマネジメント手法です。

パイプライン管理で売上予測と戦術の改善

売上予測の精度を上げるためにパイプライン管理を実践するには何が必要でしょうか?
まずはパイプラインと言われる受注までの営業フェーズの分解です。

(例)
リード(資料DL/アポ調整中)
初回商談
提案
クロージング
見積提示
受注

そして次に大事なのが案件の進捗管理です。

・自分の担当している案件はパイプラインのどのフェーズなのか?
・見込金額はいくらなのか?
・どうしたら次のフェーズに進めるのか?

などを営業マネージャーと営業メンバーで話し合います。
パイプラインに積み上がっている見込金額の合計を計算し、足りない場合は、休眠顧客の掘り起こしやリードタイムを短くする施策を行います。

パイプライン管理のメリット

パイプライン管理のメリットを整理していきます。

営業プロセスの見える化による営業の属人化の抑止

営業フェーズを分解して管理するため、営業組織全体だけでなく営業メンバー個々の進捗を可視化することができます。各営業フェーズ全体における強みやボトルネックの発見にもつながりやすく営業組織全体の課題解決の役に立つでしょう。
また、営業担当者の営業プロセスが可視化されることで、営業ノウハウ・営業効率化手法のブラックボックス化を防ぐことも可能です。

営業メンバー個々への適切なマネジメント

営業プロセスが可視化されることでメンバー個々の強み、弱みも明らかになります。
営業マネージャーはメンバーにあったアドバイスすべきポイントが明確になり、ピンポイントでの指示出しや指導ができるようになります。営業メンバー個人も自分のパイプラインから示唆を得て、自走できるサイクルが生まれると尚良いでしょう。

売上予測の精度向上

パイプライン管理により、リアルタイムでの管理・分析が可能になります。
早い段階で軌道修正や改善を実施できるので予測値と実績がそこまで振れることは減るでしょう。

マーケティング組織との連携の効率化

見込客の獲得のためにマーケティング組織では様々な施策を実施しています。流入チャネルごとにパイプラインを分析することで、それぞれの施策の効果測定やチャネルの優先度が明確になっていきます。
初回商談、受注につながっているのかを含めてチャネルごとのパイプラインを分析することで、マーケティングと営業の連携が取りやすくなり、効率化や生産性向上につながるでしょう。

パイプライン管理がうまくいかないケース

とはいうものの営業は属人化することが多いです。そのためパイプライン管理がうまくいかないケースもあります。また、パイプライン管理を充実させる手段としてセールステックツールを導入しても結局うまくいかないこともあります。

管理がうまくいかないケースとしては
・そもそも営業が情報を入力してくれない
・入力を徹底しても入力形式がバラバラ(営業フェーズの認識がバラバラ)
・営業メンバーがデータを見ない
・データを活用してPDCAを回す習慣がない
・ヨミの精度が上がらず作業工数が増えただけ(モチベーションの停滞)

などの原因がございます。

(例)
・最新の案件情報に更新しない
・本当は全く見込がないのに、クロージングフェーズに案件を置いている
・見込みがほぼないと営業が判断してヨミ表に案件自体を記入していない
・パイプラインに手持ち案件が足りない際のリカバリープランの立案、実行がない
・マネージャーしかパイプラインを見ない

このような問題点を解消するための運用方法を紹介していきます。

パイプライン管理と営業フェーズの考え方

まずはパイプライン管理の方法です。マネージャーはどんな点に注意すればよいのでしょうか?
先ほどの営業フェーズを例にします。

リード(資料DL/アポ調整中):(注意点)案件数・質は適正か?
初回商談:(注意点)停滞している案件はないか?
提案:(注意点)適切な提案をしているか?
クロージング:(注意点)キーマンを抑えているか?
見積提示:(注意点)書類に不備はないのか?
受注

金額だけでなく上記を意識することで次のフェーズへの移行率が改善され、売上予測の精度改善にも貢献するでしょう。
次に営業フェーズの考え方です。
先述したような営業フェーズを設定することもよいですが、「顧客の事実ベース」でのフェーズ設定を行うことでメンバー間での誤解も減るでしょう。

(例)
リード
有効会話
初回商談
課題の合意
ソリューションへの価値理解
意思決定者の合意
スケジュール/体制の合意
金額面での合意
書類の取り交わし

パイプラインマネジメント(管理)のポイント

・データ入力の徹底
リアルタイムで情報を更新していかなくては精度の高い売上予測やで適切なアドバイスができません。まずは情報を蓄積させる習慣をつけることが非常に重要です。まずは入力箇所を最小限に抑えて徐々に項目を増やしていくのが良いでしょう。

・営業会議での共有
更に、このようなデータをリアルタイムで確認し、営業ミーティングを効率化するためにセールステックツールを活用するとよいでしょう。(SFA/CRMなど)
パイプラインの推移率を見ていくと担当者ごとのボトルネックが可視化されます。また、営業全体の推移率を毎月見ていくことでリードの質もわかるようになります。リードの質が下がっていることが分かれば、マーケティングと協力してターゲットやマーケティング施策の見直しができます。

最近では、データを蓄積すると、AIが売上予測分析を行うツールも増えています。
失注も含めた営業情報をしっかり入力していくことでAIの予測精度も高まります。

まとめ

今回は売上予測の精度を高める方法としてパイプライン管理や営業フェーズの設定について例を用いて紹介してきました。

■パイプライン管理とは
受注までの営業の流れ(リード~受注まで)をパイプラインと呼びます。営業が持っている案件がどの営業フェーズに何件あるか可視化することでボトルネックの把握(停滞案件)や売上予測(受注に近い案件が見える化される)に用いることができます。

■パイプライン管理が必要な背景
・売上予測の精度の向上において、営業活動の可視化、分析が必要
・営業活動の無駄やボトルネックを発見する手法としてパイプライン管理が有効

■売上予測の精度を高める方法
・パイプラインマネジメント(管理)の導入
受注までの営業の流れ(リード~受注まで)をパイプラインと呼びます。営業が持っている案件がどのフェーズに何件あるか可視化することでボトルネックの把握(停滞案件)や売上予測(受注に近い案件が見える化される)

■パイプライン管理のメリット
・営業プロセスの見える化による営業の属人化の抑止
・営業メンバー個々への適切なマネジメント
・売上予測の精度向上
・マーケティング組織との連携の効率化

■パイプライン管理における営業フェーズの考え方
・「顧客の事実ベース」での営業フェーズの設定

(例)
リード
有効会話
初回商談
課題の合意
顧客がソリューションへの価値理解
意思決定者の合意
スケジュール/体制の合意
金額面での合意
書類の取り交わし

■パイプラインマネジメント(管理)のポイント
・データ入力の徹底
・営業会議での共有

セールステックツールを活用するとよいでしょう(SFA/CRMなど)
パイプライン管理をすることで高速でPDCAサイクルを回し、強い営業組織を構築していきましょう。