コラムをご覧の方のなかには営業マネジメントに関わる方や
今後マネジメントに関わっていく方もいらっしゃるかと思います。
営業マネージャーに就任したばかりの方は、メンバーに対して
どのようなマネジメントをしていくべきか迷うかと思います。
または中々メンバーの成績が上がらずチーム目標を達成できない、など
営業マネジメントに悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
今回はそのような方々が参考になるような情報をお伝えしたいと思います。
メンバーの習熟度によってマネジメントを変える
マネジメント対象の組織はどのようなメンバー構成でしょうか?
新人、中堅、ベテランなど様々な能力を持っている方がいるかと思います。
そのようなメンバー構成の中で全員に同じマネジメントを行っても
効果的ではないのは感覚的にご存知かと思います。
では上記のようなメンバーに対してそれぞれどのようなマネジメントが
考えられるでしょうか?
そこで参考になるのはSL理論です。
SL理論(シチュエーショナル・リーダーシップ理論)とは?
SL理論とは、相手の状態に応じて、有効なマネジメントをおこなうための考え方です。
※SL理論とは?
SL理論とは「Situational Leadership」の頭文字をとったものです。
ポール・ハーシー(Paul Hersey)とケネス・ブランチャード(Kenneth H Blanchard)
によって提唱されました。Situational」とは、「状況に応じた」という意味なので
「状況にあわせたリーダーシップ」の理論ということです。
部下の仕事の習熟度に応じて、リーダーがどのように部下とコミュニケーションをして
リーダーシップ発揮していくかの考え方です。
「SL理論の実践」メンバーの習熟度で使い分ける4つのリーダーシップ
SL理論では4つのリーダーシップを提示しています。
「指示的行動(Directive Behaviour)」と「協労的行動(Supprotive Behaviour)」
の二軸の度合いで考えます。
指示的行動:メンバーへの役割の明確化、指示
協労的行動:メンバーとの話し合い、支援など双方向での意思疎通
この2軸を組み合わせて4つのタイプに分けることができます。
メンバーの習熟度に合わせてリーダーシップを使い分けで下さい。
①部下の成熟度:低い場合
教示(指導)型リーダーシップ
(指示:多、コミュニケーション:少)
・具体的な指示を出して行動を促す
②部下の成熟度:やや未成熟な場合
説得(コーチ)型リーダーシップ
(指示:多、コミュニケーション:多)
・自分の考えを説明し、疑問にも応える。
③部下の成熟度:やや成熟してきた場合
参加(カウンセリング)型リーダーシップ
(指示:少、コミュニケーション:多)
・自立性を促すため激励したり、適切な問題解決や意思決定をできるよう取り計らう
④部下の成熟度:成熟な場合
委任(エンパワーメント)型リーダーシップ
(指示:少、コミュニケーション:少)
・合意の上で目標や課題を決め、権限や責任を委譲する。
SL理論の使用例
以下が簡単な例になります。
部下:4人
Aさん:1年目の新人
→教示(指導)型リーダーシップ
具体的な指示命令を与え、仕事の達成をきめ細かく監視する
Bさん:2年目~5年目
→説得(コーチ)型リーダーシップ
基本的な指導は欠かさないうえで、時折部下の意見を聞き、自主性も促す
Cさん:中堅
→参加(カウンセリング)型リーダーシップ
進捗管理は一緒にするけれども、実務にはほとんど口出しをしない
Dさん:ベテラン
→委任(エンパワーメント)型リーダーシップ
進捗管理も基本的には部下に任せ、万が一トラブルが発生した際は対応する
SL理論が有効な組織
SL理論が効果的な組織として、以下のような問題を抱えている組織です。
・リーダーのリーダーシップが不足している
・リーダーのリーダーシップの型が固定的である(誰に対しても同じスタイル)
・リーダーの部下育成力が弱い
・部下との関係性がよくないため、組織のモチベーションが高くない
これらの課題の原因の一つに、リーダーが、自分好みの決まりきったリーダーシップの型で
全ての部下や状況に対応していることが挙げられます。その解決法の1つがSL理論です。
SL理論の活用すると、部下の生産性が向上して組織の活性化にもつながります。
SL理論導入による組織へのメリット
部下が持っているスキルや、モチベーションはそれぞれ異なります。
部下の成熟度状況に合わせたSL理論には以下のようなメリットがあります。
・部下の能力が上がる
それぞれの部下に合った指導ができるため、部下がモチベーション高く働き成果を出しやすくなります。
目指す成果に向けて、個々の問題解決能力も高まります。
・定着率が向上する
部下の達成感や責任感、充実感が高まり、組織における自分の価値を感じられるようになることで、
組織へのエンゲージメントが高まります。結果、定着率の向上にもつながります。
まとめ
以上のように営業メンバーへのマネジメントに活用できる、
SL理論を紹介しました。
■SL理論(シチュエーショナル・リーダーシップ理論)とは
・相手の状態に応じて、有効なマネジメントをおこなうための考え方
①部下の成熟度:低い場合
教示(指導)型リーダーシップ
(指示:多、コミュニケーション:少)
・具体的な指示を出して行動を促す
②部下の成熟度:やや未成熟な場合
説得(コーチ)型リーダーシップ
(指示:多、コミュニケーション:多)
・自分の考えを説明し、疑問にも応える。
③部下の成熟度:やや成熟してきた場合
参加(カウンセリング)型リーダーシップ
(指示:少、コミュニケーション:多)
・自立性を促すため激励したり、適切な問題解決や意思決定をできるよう取り計らう
④部下の成熟度:成熟な場合
委任(エンパワーメント)型リーダーシップ
(指示:少、コミュニケーション:少)
・合意の上で目標や課題を決め、権限や責任を委譲する。
■SL理論が有効な組織
・リーダーのリーダーシップが不足している
・リーダーのリーダーシップの型が固定的である(誰に対しても同じスタイル)
・リーダーの部下育成力が弱い
・部下との関係性がよくないため、組織のモチベーションが高くない
■SL理論導入のメリット
・部下の能力が上がる
・定着率が向上する
営業メンバーの年次に応じてはもちろん、習熟度を見極めて
使い分けることをおススメします。
現在マネジメントに悩んでいる方は、SL理論を参考にやり方を変えてみるのはいかがでしょうか?
またうまくいっている方は、「なぜうまくいっているのか」を振り返る材料にしてみて下さい。
是非今後の参考になれば幸いです。
関連情報
関連コラム:営業メンバーの営業力強化に必要な施策|営業同行のポイント
営業パーソンと営業マネージャーの違いとは?初めて営業マネージャーになる人が意識すべきミッション